食品ロス削減に着目した食教育プログラムの有効性

【目的】児童に食品ロス削減に対する態度を培うため,動画による指導と学級活動における食に関する指導を関連づけた食教育プログラムの有効性を検討した。【方法】準実験デザインにより公立小学校の6年生を対象に,2クラスを教育群(n=31)と対照群(n=31)に振り分けた。期間は1か月間とし,学級活動の時間に食品ロス削減を考える食に関する指導を行い,給食の時間に動画による事前学習を8回,事後学習を5回行った。ワークシートによる学習目標の達成度,22項目から成る質問紙を用いて知識,思考力・判断力,感謝の心の3つの観点から両群を教育前と後の変化により評価した。【結果】ワークシートの分析から,すべての児童が学習...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 81; no. 4; pp. 153 - 163
Main Authors 西, 太郎, 上田, 由喜子, 早見, 直美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.08.2023
日本栄養改善学会
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Summary:【目的】児童に食品ロス削減に対する態度を培うため,動画による指導と学級活動における食に関する指導を関連づけた食教育プログラムの有効性を検討した。【方法】準実験デザインにより公立小学校の6年生を対象に,2クラスを教育群(n=31)と対照群(n=31)に振り分けた。期間は1か月間とし,学級活動の時間に食品ロス削減を考える食に関する指導を行い,給食の時間に動画による事前学習を8回,事後学習を5回行った。ワークシートによる学習目標の達成度,22項目から成る質問紙を用いて知識,思考力・判断力,感謝の心の3つの観点から両群を教育前と後の変化により評価した。【結果】ワークシートの分析から,すべての児童が学習目標に対して「おおむね満足できると判断される子どもの具体的な姿(B)」,もしくは「十分満足できると判断される子どもの具体的な姿(A)」と評価できた。教育後の2群の比較において,教育群の方が対照群よりも「食品ロスを減らすために何かできることはないか考えた」児童が増加し(教育群42.0%,対照群3.7%,p=0.013),食品に対する知識も向上した。さらに,教育群にのみ行った教育後から1か月後の変化では食品に対する知識は低下したが,一方食品ロス削減に対する態度は変わらなかった。【結論】本食教育プログラムにより食品ロス削減に対する態度の向上が認められ,動画による指導と学級活動を関連させた学習の有効性が示唆された。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.81.153