薬効別の薬剤配置下における調剤エラーの発生タイミングと患者への危険性との関係

「緒言」これまでに多くの医療機関で, 調剤エラーとインシデントの防止に対する様々な取り組みがなされてきた. 九州大学病院薬剤部(以下, 当院)では, これらのエラー防止への継続的な取り組みにより, 2006年度以降の内用薬・外用薬のインシデント発生率(インシデント件数/処方箋枚数)を0.027-0.038%に維持している. しかしながら, 「人は間違い(エラー)を起こす存在である」という前提に立てば, インシデントをゼロにすることは実質的に不可能である. それゆえに, 薬剤師は重篤な患者被害に結びつき易い調剤エラーの特徴を分析したうえで, このようなエラー発生を優先的に防止する(被害を最小限に...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 136; no. 11; pp. 1573 - 1584
Main Authors 辻, 敏和, 永田, 健一郎, 川尻, 雄大, 山田, 孝明, 入佐, 俊弘, 村上, 裕子, 金谷, 朗子, 江頭, 伸昭, 増田, 智先
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.11.2016
日本薬学会
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Summary:「緒言」これまでに多くの医療機関で, 調剤エラーとインシデントの防止に対する様々な取り組みがなされてきた. 九州大学病院薬剤部(以下, 当院)では, これらのエラー防止への継続的な取り組みにより, 2006年度以降の内用薬・外用薬のインシデント発生率(インシデント件数/処方箋枚数)を0.027-0.038%に維持している. しかしながら, 「人は間違い(エラー)を起こす存在である」という前提に立てば, インシデントをゼロにすることは実質的に不可能である. それゆえに, 薬剤師は重篤な患者被害に結びつき易い調剤エラーの特徴を分析したうえで, このようなエラー発生を優先的に防止する(被害を最小限に抑える)対策に力を注ぐべきである. つまり, 患者被害の縮小化という視点に立ち, 調剤エラーの「件数(量)の減少」ばかりではなく「危険性(質)の軽減」に着目することが重要である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.16-00175