腎機能正常発熱性好中球減少症患者に対するセフェピム至適投与法の検討 —PK/PDと臨床的アウトカムの関連性から

「緒言」がん化学療法に伴う好中球減少は, 最も注意すべき副作用の1つである. 好中球が減少すると発熱し易く, 急速に重篤化して致死的な状況となる危険がある. 好中球減少時の発熱[発熱性好中球減少症(febrile neutropenia ; FN)]は, 原因が不明であることが多いが, 発熱後ただちに広域スペクトラムの抗菌薬を投与することで症状が改善し, 死亡率が低下することが知られている. わが国でFNに対して適応のある抗菌薬はセフェピム(cefepime ; CFPM), メロペネム(meropenem ; MEPM), バンコマイシン(vancomycin ; VCM), 及び2015年...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 136; no. 12; pp. 1641 - 1649
Main Authors 川本, 由加里, 山本, 明日香, 山本, 聡, 神山, 秀一, 山下, 良子, 上田, 晃, 後藤, 仁和, 加納, 宏樹, 結城, 祥充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 2016
日本薬学会
Subjects
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.16-00168

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Summary:「緒言」がん化学療法に伴う好中球減少は, 最も注意すべき副作用の1つである. 好中球が減少すると発熱し易く, 急速に重篤化して致死的な状況となる危険がある. 好中球減少時の発熱[発熱性好中球減少症(febrile neutropenia ; FN)]は, 原因が不明であることが多いが, 発熱後ただちに広域スペクトラムの抗菌薬を投与することで症状が改善し, 死亡率が低下することが知られている. わが国でFNに対して適応のある抗菌薬はセフェピム(cefepime ; CFPM), メロペネム(meropenem ; MEPM), バンコマイシン(vancomycin ; VCM), 及び2015年6月に効能追加承認されたタゾバクタム・ピペラシリン(tazobactam/piperacillin ; TAZ/PIPC)のみである. しかし, VCMはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌又はメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌感染が疑われる場合のみに使用が限られるほか, カルバペネム系薬であるMEPMは多くの施設で届出制が導入されるなど使用が制限されており, FNの初期治療はCFPMで行われることが多い.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.16-00168