たんぱく質・アミノ酸の必要量に関する研究

摂取エネルギーは十分であっても,摂取たんぱく質が不足した時にクワシオコールが発症し,感染症などを併発しやすい。たんぱく質必要量は,身体の構造と機能を正常に維持するために必要な摂取量(代謝要求量)であり,食事たんぱく質必要量は,それらの要求量を満たす量である。たんぱく質必要量は,窒素出納法によって決定されてきた。しかし,窒素出納法にはその方法上様々な問題がある。指標アミノ酸酸化(IAAO)法は,窒素出納法とは原理が大きく異なり,窒素出納法の代替法として動物とヒトにおいて開発された。私たちは,指標アミノ酸酸化法を用いてラットと健康成人男性の食事たんぱく質必要量とたんぱく質の質を再評価した。その結果...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 285 - 293
Main Author 木戸, 康博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 2011
日本栄養改善学会
Subjects
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ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.69.285

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Summary:摂取エネルギーは十分であっても,摂取たんぱく質が不足した時にクワシオコールが発症し,感染症などを併発しやすい。たんぱく質必要量は,身体の構造と機能を正常に維持するために必要な摂取量(代謝要求量)であり,食事たんぱく質必要量は,それらの要求量を満たす量である。たんぱく質必要量は,窒素出納法によって決定されてきた。しかし,窒素出納法にはその方法上様々な問題がある。指標アミノ酸酸化(IAAO)法は,窒素出納法とは原理が大きく異なり,窒素出納法の代替法として動物とヒトにおいて開発された。私たちは,指標アミノ酸酸化法を用いてラットと健康成人男性の食事たんぱく質必要量とたんぱく質の質を再評価した。その結果,指標アミノ酸酸化法は全てのライフステージ(幼児,小児,学童,成人,高齢者)の食事たんぱく質必要量の評価だけでなく,代謝要求量が大きく変化している術後,傷害,感染症などいろいろな病態時の食事たんぱく質必要量の推定,また,たんぱく質の質の評価にも利用できることがわかった。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.69.285