喀血を繰り返し肺葉内肺分画症が考えられた気管支内異物の 1 手術例

症例は31歳, 女性。上気道炎に罹患しやすく, 25歳時には喀血の既往歴があった。平成8年3月に湿性咳嗽と黄色痰を生じ, 以降, 乾性咳嗽が続いていた。5月28日, 突然約100mlの喀血を生じ, 以後も喀血を繰り返すため近医受診し, 同日当院に紹介入院となった。気管支鏡により, 右B^ から鮮紅色の出血を認め, 胸部CT検査では右S^ 領域に気管支拡張像と一部造影効果のある腫瘤状陰影を認めた。また, 大動脈造影では右下横隔膜動脈から肺静脈へ灌流する異常血管を認めた。異常の結果から肺分画症と考え, 喀血を繰り返していることから手術適応と考えて, 病変部分右S^ の肺部分切除を行った。切除標本に...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 20; no. 1; pp. 75 - 79
Main Authors 渡邊, 亨, 湯浅, 幸吉, 高瀬, 恵一郎, 笠倉, 尚人, 板井, 典朗, 栂, 博久, 高橋, 敬治, 小嶋, 徹, 大谷, 信夫, 上田, 善道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1998
日本気管支学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.20.1_75

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Summary:症例は31歳, 女性。上気道炎に罹患しやすく, 25歳時には喀血の既往歴があった。平成8年3月に湿性咳嗽と黄色痰を生じ, 以降, 乾性咳嗽が続いていた。5月28日, 突然約100mlの喀血を生じ, 以後も喀血を繰り返すため近医受診し, 同日当院に紹介入院となった。気管支鏡により, 右B^ から鮮紅色の出血を認め, 胸部CT検査では右S^ 領域に気管支拡張像と一部造影効果のある腫瘤状陰影を認めた。また, 大動脈造影では右下横隔膜動脈から肺静脈へ灌流する異常血管を認めた。異常の結果から肺分画症と考え, 喀血を繰り返していることから手術適応と考えて, 病変部分右S^ の肺部分切除を行った。切除標本にて, 拡張した気管支内に異物を認めた。本例は, 胸部CT, 右下横隔膜動脈造影により肺葉内肺分画症が疑われたが, 気管支内異物のため感染を繰り返し, その結果新生血管が発育し, 喀血を繰り返した症例であると考えられた。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.20.1_75