頭頸部進行癌に対する化学放射線同時併用療法後の救済手術 —その合併症と予後

近年, 頭頸部進行癌に対して臓器温存を目指して化学放射線同時併用療法が多用されているが, その遺残・再発に対する救済手術の意義は確立されていない. 今回われわれは, ドセタキセルとシスプラチンを毎週1回投与する化学放射線同時併用療法で加療した頭頸部進行癌30症例に対する救済手術34例 (遺残19例, 再発15例) について, その合併症・予後について検討したので報告する. 救済手術の内訳は頸部郭清単独21例, 原発巣切除単独1例, 原発巣切除+頸部郭清12例であった. 遺残例では19例中7例 (37%), 再発例では15例中3例 (20%) に合併症を認めたが, 発生頻度に有意差を認めなかった...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 113; no. 12; pp. 889 - 897
Main Authors 山本, 佳史, 富山, 要一郎, 喜井, 正士, 猪原, 秀典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2010
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.113.889

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Summary:近年, 頭頸部進行癌に対して臓器温存を目指して化学放射線同時併用療法が多用されているが, その遺残・再発に対する救済手術の意義は確立されていない. 今回われわれは, ドセタキセルとシスプラチンを毎週1回投与する化学放射線同時併用療法で加療した頭頸部進行癌30症例に対する救済手術34例 (遺残19例, 再発15例) について, その合併症・予後について検討したので報告する. 救済手術の内訳は頸部郭清単独21例, 原発巣切除単独1例, 原発巣切除+頸部郭清12例であった. 遺残例では19例中7例 (37%), 再発例では15例中3例 (20%) に合併症を認めたが, 発生頻度に有意差を認めなかった. また, 頸部郭清単独群では21例中6例 (29%), 原発巣切除±頸部郭清群では13例中4例 (31%) に合併症を認めたが, 発生頻度に有意差は認めなかった. 全体として34手術中10例 (29%), 30症例中9例 (30%) に合併症を認めた. 最も多かった合併症は嚥下障害と皮膚壊死でそれぞれ5例に認めた. 嚥下障害の3例に経内視鏡的に胃瘻を造設した. 咽頭皮膚瘻を合併した皮膚壊死の2例では, 大胸筋皮弁による加療を要した. 頸動脈破裂, 乳びは認めなかった. 救済手術後の予後は遺残例で3年累積粗生存率74%, 再発例で3年累積粗生存率87%と良好であった. 頭頸部進行癌に対する化学放射線同時併用療法後の救済手術は, 難易度は高いが致命的な合併症は認めず予後も良好であり, 積極的に施行するべきである.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.113.889