ボイスプロテーゼによる喉頭摘出後の代用音声

「はじめに」 ボイスプロテーゼを用いたシャント発声は, 手術手技の簡便さと食道発声より音声獲得が容易であるため, 欧米で代用発声法の主流となり, 近年本邦でもその使用頻度が高まっている1). 本邦で用いられているボイスプロテーゼの種類はいくつか存在するが, その中でも現在最も使用頻度の高いProvox2(R)について述べる. 「Provox2(R)の構造とシャント発声のしくみ(図1)」 Provox2(R)は柔らかなシリコーン製の器具であり, シャフトの直径は7.5mmで, シャフト長は4.5~15mmまで計6種類存在し, 患者の気管食道瘻の厚みによってそのサイズを選択する. バルブ(弁)は低...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 115; no. 9; pp. 870 - 871
Main Author 寺田, 友紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2012
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.115.870

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Summary:「はじめに」 ボイスプロテーゼを用いたシャント発声は, 手術手技の簡便さと食道発声より音声獲得が容易であるため, 欧米で代用発声法の主流となり, 近年本邦でもその使用頻度が高まっている1). 本邦で用いられているボイスプロテーゼの種類はいくつか存在するが, その中でも現在最も使用頻度の高いProvox2(R)について述べる. 「Provox2(R)の構造とシャント発声のしくみ(図1)」 Provox2(R)は柔らかなシリコーン製の器具であり, シャフトの直径は7.5mmで, シャフト長は4.5~15mmまで計6種類存在し, 患者の気管食道瘻の厚みによってそのサイズを選択する. バルブ(弁)は低抵抗性の一方弁で食道側にしか倒れないようになっており, 誤嚥のリスクを軽減させている. 指などで気管孔を閉鎖すると, 呼気はボイスプロテーゼ内を通り, 食道に導かれる. 食道に入った呼気は, 咽頭粘膜を振動させ, これが新声門となって発声が可能となる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.115.870