インターロイキン1:細胞増殖制御から慢性炎症性疾患まで

「1. はじめに」私は東京大学薬学部4年生のとき, 卒業研究で浮田忠之進教授の衛生裁判化学教室に入りました. 当時, 教室には核酸グループ, 水銀グループ, レクチンを用いたがん細胞表面膜の解析グループがありました. 要約すれば核酸か, 水銀か, タンパクかといった具合です. 中でも核酸グループが最も人数が多く, それ以外は少人数でした. 私は細胞表面膜構造に興味があり, 富田基郎先生やできたばかりの生体異物講座の大沢利昭先生の指導を受け, いろいろな糖特異性を持ったレクチンによるラット腹水肝がん細胞の凝集性を調べ, 一個ずつバラバラに増殖するがん細胞と, かたまって島を形成するがん細胞の間に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 133; no. 6; pp. 645 - 660
Main Author 小野嵜, 菊夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.06.2013
日本薬学会
Online AccessGet full text
ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.13-00064

Cover

Loading…
More Information
Summary:「1. はじめに」私は東京大学薬学部4年生のとき, 卒業研究で浮田忠之進教授の衛生裁判化学教室に入りました. 当時, 教室には核酸グループ, 水銀グループ, レクチンを用いたがん細胞表面膜の解析グループがありました. 要約すれば核酸か, 水銀か, タンパクかといった具合です. 中でも核酸グループが最も人数が多く, それ以外は少人数でした. 私は細胞表面膜構造に興味があり, 富田基郎先生やできたばかりの生体異物講座の大沢利昭先生の指導を受け, いろいろな糖特異性を持ったレクチンによるラット腹水肝がん細胞の凝集性を調べ, 一個ずつバラバラに増殖するがん細胞と, かたまって島を形成するがん細胞の間にはレクチンに対する凝集性に違いがあるという研究を行いました. ついで, 富田先生がヒマレクチン(ガラクトースに結合する性質がある)をセファロースカラムで精製し, ゲル濾過すると分子量120kDaの細胞凝集活性のあるレクチンと60kDaのヒマ毒素(リシン)に分離されることを見い出し, 私は大学院時代リシンの細胞毒性機構について研究いたしました.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00064