手根骨癒合症が成因として疑われたcarpal bossの若年例

Carpal Bossとは第2,3中手骨基部の骨性隆起のことで,その発生原因として定説はない.成因として手根骨癒合症が疑われたcarpal bossの1例を報告する.症例は11歳,女児,左利き.出生,発育,発達に問題はなかった.半年前より誘因なく,右手関節背側部に疼痛を自覚し,症状が継続するため当院を受診した.第3中手骨基部に骨性隆起を触知し,同部位に軽度の圧痛と手関節背屈時に疼痛が誘発された.CT像にて第3中手骨基部と有頭骨の背側,橈側に鳥の嘴状の骨性隆起を認めた.安静目的に手関節装具を装着したが疼痛が残存したため切除術を施行した.骨性隆起を関節軟骨が確認できるまで切除した.明らかな腱との癒...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 59; no. 2; pp. 341 - 345
Main Authors 赤嶺, 良幸, 普天間, 朝上, 大久保, 宏貴, 堀切, 健士, 岳原, 吾一, 金谷, 文則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.59.341

Cover

More Information
Summary:Carpal Bossとは第2,3中手骨基部の骨性隆起のことで,その発生原因として定説はない.成因として手根骨癒合症が疑われたcarpal bossの1例を報告する.症例は11歳,女児,左利き.出生,発育,発達に問題はなかった.半年前より誘因なく,右手関節背側部に疼痛を自覚し,症状が継続するため当院を受診した.第3中手骨基部に骨性隆起を触知し,同部位に軽度の圧痛と手関節背屈時に疼痛が誘発された.CT像にて第3中手骨基部と有頭骨の背側,橈側に鳥の嘴状の骨性隆起を認めた.安静目的に手関節装具を装着したが疼痛が残存したため切除術を施行した.骨性隆起を関節軟骨が確認できるまで切除した.明らかな腱との癒着や滑膜炎はなかった.術後3カ月で疼痛は消失した.病理所見は第3中手骨,有頭骨それぞれの骨組織が線維軟骨組織を介して連続していた.この所見は非骨性足根骨癒合症の病理所見に酷似していた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.59.341