Linezolidによる培養ヒト単球系細胞のミトコンドリア機能障害を介したアポトーシス誘導とSOD-1の役割

「緒論」 Linezolid[(S)-N-[[3-[3-fluoro-4-(4-morpholinyl)phenyl]-2-oxo-5-oxazolidinyl]methyl]-acetamide](LZD)は, グラム陽性球菌感染症治療に有効なオキサゾリジノン系合成抗菌剤である. ペプチド鎖の伸長過程若しくは終結過程を阻害する従来の細菌のタンパク質合成阻害作用を有する抗菌剤とは大きく異なり, LZDはリボゾーム50Sサブユニットに結合し, 70S開始複合体の形成を阻害することにより菌の増殖を抑制して抗菌作用を発現する. LZDの代表的な有害事象に血小板減少や貧血などの骨髄抑制が報告されている...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 138; no. 1; pp. 73 - 81
Main Authors 桜井, 光一, 藤居, 賢, 村岡, 早苗, 宮本, 篤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.01.2018
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.17-00133

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Summary:「緒論」 Linezolid[(S)-N-[[3-[3-fluoro-4-(4-morpholinyl)phenyl]-2-oxo-5-oxazolidinyl]methyl]-acetamide](LZD)は, グラム陽性球菌感染症治療に有効なオキサゾリジノン系合成抗菌剤である. ペプチド鎖の伸長過程若しくは終結過程を阻害する従来の細菌のタンパク質合成阻害作用を有する抗菌剤とは大きく異なり, LZDはリボゾーム50Sサブユニットに結合し, 70S開始複合体の形成を阻害することにより菌の増殖を抑制して抗菌作用を発現する. LZDの代表的な有害事象に血小板減少や貧血などの骨髄抑制が報告されている. LZDによる真核細胞障害機構の詳細は不明であるが, 細菌のリボソームを標的とする抗菌薬は, 真核細胞のミトコンドリア機能障害を惹起し, 副作用を発現させる可能性が示唆されている. ヒトミトコンドリア内のタンパク質合成は基本的に原核細胞と同様な機構で行われることから, LZDは50Sリボソームに結合してミトコンドリアにおけるタンパク質合成を阻害して機能障害を惹起することが推定される.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00133