予後栄養指数を用いた誤嚥に対する声門下喉頭閉鎖術の術前評価
重症誤嚥患者に対する誤嚥防止手術は, 患者の QOL 改善や生命予後の改善を期待できるとされている. しかし, 本手術の適応を考える上において, 患者の予後を反映する指標についての詳細な報告は認められない. O-PNI1) (Onodera-Prognostic Nutritional Index) は血清アルブミン値と末梢血総リンパ球数から簡単に求めることができる予後栄養指数の一つで, 外科領域において術後合併症リスク等の指標として開発されたものである. この O-PNI と WBC, CRP, 血清アルブミン値について, 誤嚥防止手術後の予後との関連について検討を行った. 全31例のう...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 117; no. 12; pp. 1457 - 1462 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.12.2014
日本耳鼻咽喉科学会 |
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Summary: | 重症誤嚥患者に対する誤嚥防止手術は, 患者の QOL 改善や生命予後の改善を期待できるとされている. しかし, 本手術の適応を考える上において, 患者の予後を反映する指標についての詳細な報告は認められない. O-PNI1) (Onodera-Prognostic Nutritional Index) は血清アルブミン値と末梢血総リンパ球数から簡単に求めることができる予後栄養指数の一つで, 外科領域において術後合併症リスク等の指標として開発されたものである. この O-PNI と WBC, CRP, 血清アルブミン値について, 誤嚥防止手術後の予後との関連について検討を行った. 全31例のうち, 術後6カ月以内に死亡した術後早期死亡例6例の平均 O-PNI は28.26であった. これに対して生存例での平均は36.01であった. 4つの指標のうち術後早期死亡例において有意な関連を示したのは, O-PNI と血清アルブミン値で, ROC 曲線を用いて比較したところ O-PNI がより精度が高く, 術後早期死亡に対するカットオフ値は32となった. 術前の O-PNI が32未満の患者では術後早期死亡率は44.4%となるが, O-PNI が32以上であった場合は9.1%と有意に低くなった. O-PNI は術前に重症誤嚥患者の予後をある程度予測し, 誤嚥防止手術に対する意思決定支援に有効な指標の一つと考えられた. また, O-PNI による評価において, 本術式に延命効果があることが認められた. さらに, 術前の O-PNI 値による治療アルゴリズムを示し, 今後の課題として, 必須アミノ酸補充による筋蛋白同化促進効果などを利用した, 術前栄養療法の開発を挙げた. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.117.1457 |