高齢者に優しい一包化可能なヘミアセタールエステル化ニューキノロン薬と経口投与可能なペメトレキセドのメドキソミル化プロドラッグ

「1. はじめに」ニューキノロンは構造式中のピリドンカルボン酸基が多価金属イオンと反応し不溶性キレートを形成するため, アルミニウムを含む制酸薬と併用される際は2時間間隔を空けることが添付文書に記載されている. キノロンのキレート子たるピリドンカルボン酸基を経口セフェムに使用されているヘミアセタールエステルで修飾すると, 金属含有製剤と同時併用しても腸で不溶性キレートを形成せず, 吸収の際に定量的に加水分解されて親化合物に変換する. しかも, 同プロドラッグは吸収されるまでは抗菌活性を示さないので, 腸内細菌叢に影響が少なく, 偽膜性大腸炎を抑制する可能性も示唆される便利なプロドラッグとなった...

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Bibliographic Details
Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 137; no. 9; pp. 1087 - 1094
Main Author 松山, 賢治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 2017
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.17-00095

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Summary:「1. はじめに」ニューキノロンは構造式中のピリドンカルボン酸基が多価金属イオンと反応し不溶性キレートを形成するため, アルミニウムを含む制酸薬と併用される際は2時間間隔を空けることが添付文書に記載されている. キノロンのキレート子たるピリドンカルボン酸基を経口セフェムに使用されているヘミアセタールエステルで修飾すると, 金属含有製剤と同時併用しても腸で不溶性キレートを形成せず, 吸収の際に定量的に加水分解されて親化合物に変換する. しかも, 同プロドラッグは吸収されるまでは抗菌活性を示さないので, 腸内細菌叢に影響が少なく, 偽膜性大腸炎を抑制する可能性も示唆される便利なプロドラッグとなった. 第2話は, 点滴投与で投与されている肺がんの特効薬, ペメトレキセドを取り上げ, ペメトレキセドをアジルサルタン (アジルバ(R)) に使用されている脂溶性基のメドキソミルエステルで修飾すると経口投与可能なペメトレキセドジメドキソミルができ, EGFR野生型の肺がん患者の維持療法における在宅がん化学療法が射程に入ったので紹介する.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00095