胸腰椎移行部の後弯変形により脊髄症を呈したSAPHO症候群の1手術例

Synovitis-acne-pustulosis-hyperosteosis-osteomyelitis(SAPHO)症候群に伴う骨関節病変は前胸部が最も多い.脊椎では約30%とされているが,後弯変形と神経症状を伴う例は稀である.我々は,胸腰椎後弯変形に伴う脊髄症状を来し手術を施行した一例を経験したので報告する.症例は42歳男性,主訴は背部痛,立位保持困難である.31歳時,背部痛を自覚し,骨シンチで胸椎,左胸骨,左鎖骨,左肋骨に異常集積を認めた.40歳時,扁桃炎と診断され扁桃を摘出した.胸椎X線像で,第12胸椎の楔状変形と,胸腰椎の後弯変形を認めた.MRIでは第11・12胸椎レベルで脊髄が圧...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 60; no. 2; pp. 273 - 277
Main Authors 稲田, 望, 野原, 博和, 六角, 高祥, 我謝, 猛次, 黒島, 聡, 米嵩, 理, 大湾, 一郎, 金谷, 文則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2011
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Summary:Synovitis-acne-pustulosis-hyperosteosis-osteomyelitis(SAPHO)症候群に伴う骨関節病変は前胸部が最も多い.脊椎では約30%とされているが,後弯変形と神経症状を伴う例は稀である.我々は,胸腰椎後弯変形に伴う脊髄症状を来し手術を施行した一例を経験したので報告する.症例は42歳男性,主訴は背部痛,立位保持困難である.31歳時,背部痛を自覚し,骨シンチで胸椎,左胸骨,左鎖骨,左肋骨に異常集積を認めた.40歳時,扁桃炎と診断され扁桃を摘出した.胸椎X線像で,第12胸椎の楔状変形と,胸腰椎の後弯変形を認めた.MRIでは第11・12胸椎レベルで脊髄が圧迫されていた.椎体生検による病理診断は非特異的慢性炎症像を示し,細菌培養は陰性で,SAPHO症候群に伴う脊椎炎と診断した.42歳時,脊髄症状を来し,独歩不能となったため,手術を行った.手術は一期的に前方より椎体上部切除し後方よりinstrumentation,再度前方より腸骨移植を行った.術後,胸腰椎後弯は矯正され麻痺は改善し独歩可能となった.術後2年の現在も胸腰椎後弯変形の矯正損失なく経過良好である.SAPHO症候群の疾患概念,脊椎病変について文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.60.273