産業看護職のための救急処置研修プログラムの評価

目的:本研究の目的は,産業看護職の救急処置に関する基礎的能力向上を図るために開発した救急処置研修プログラムの妥当性と有用性を評価することである.方法:研究デザインは比較対照研究で,対象者は事業場に勤務する看護職69名(介入群:35名,待機群:34名)とした.研修プログラムはインストラクショナルデザインの手法を用いて開発し,一次救命処置トレーニング,救急処置の基本,ファーストエイド,シミュレーショントレーニングを組み合わせた内容とした.研修は2012年4~8月に実施した.研修の評価はThe Kirkpatrick Model of Training Evaluationを用いレベル1:React...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 58; no. 4; pp. 118 - 129
Main Authors 根岸, 茂登美, 松田, 有子, 東, 敏昭, 大谷, 喜美江, 荒木田, 美香子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本産業衛生学会 20.07.2016
日本産業衛生学会
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ISSN1341-0725
1349-533X
DOI10.1539/sangyoeisei.B15018

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Summary:目的:本研究の目的は,産業看護職の救急処置に関する基礎的能力向上を図るために開発した救急処置研修プログラムの妥当性と有用性を評価することである.方法:研究デザインは比較対照研究で,対象者は事業場に勤務する看護職69名(介入群:35名,待機群:34名)とした.研修プログラムはインストラクショナルデザインの手法を用いて開発し,一次救命処置トレーニング,救急処置の基本,ファーストエイド,シミュレーショントレーニングを組み合わせた内容とした.研修は2012年4~8月に実施した.研修の評価はThe Kirkpatrick Model of Training Evaluationを用いレベル1:Reaction(反応),レベル2:Learning(学習),レベル3:Behavior(行動)について評価した.The Kirkpatrick Model of Training Evaluationはレベル1~4まであるが,本研究ではレベル3までを評価した.評価内容は,レベル1では研修内容についての興味,理解,職場で活用できるかなど0~10点のVisual Analogue Scale(VAS)法,レベル2では知識テスト(正誤式15問),レベル3では救急体制に関する活動の有無とした.結果:対象者の属性および事業場の特性で介入群と待機群に有意差のある項目はなかった.研修の満足度(レベル1)は8.5~9.7点であった.知識テスト(レベル2)では,研修前の得点は介入群11.0点,待機群11.1点で有意差はなかった.3か月後の得点は,介入群12.5点,待機群11.0点で有意差が認められ,介入群では研修前より研修3か月後の得点が有意に上昇した.3か月後の実践度(レベル3)では,「必要物品の管理・見直し」「役割の見直し」「産業看護職との救急体制についての話し合い」を実施した割合が介入群で有意に高かった.考察:本研究で用いた産業看護職のための救急処置研修プログラムは,参加者の満足度が高く,知識の向上,行動変容に寄与することが示唆され,妥当な内容であったと考える.
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.B15018