WHO必須医薬品モデルリストに見る血漿分画製剤の位置付けの歴史的変遷と現状
「はじめに」 血漿分画製剤は, 人の血液中の血漿タンパク質という限られた資源を分離, 精製して作り出される医薬品である. 血漿という1つの原材料を利用して, 重症熱傷や大量出血等の重篤な疾病から, 血友病を始めとする様々な希少疾病に至るまで, 幅広い種類の血漿分画製剤が生み出される. この血漿分画製剤は, 1941年に開発されたアルブミン以来, 70年以上の歴史を持つ1). その一方で, 血漿分画製剤は, 数多ある医薬品の中でも議論の多い(controversial)ものの1つである. 非加熱の血液凝固因子製剤によって多くの血友病患者がHIVに感染した事件2), またフィブリノゲン製剤や血液凝...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 134; no. 2; pp. 237 - 247 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.02.2014
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.12-00282 |
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Summary: | 「はじめに」 血漿分画製剤は, 人の血液中の血漿タンパク質という限られた資源を分離, 精製して作り出される医薬品である. 血漿という1つの原材料を利用して, 重症熱傷や大量出血等の重篤な疾病から, 血友病を始めとする様々な希少疾病に至るまで, 幅広い種類の血漿分画製剤が生み出される. この血漿分画製剤は, 1941年に開発されたアルブミン以来, 70年以上の歴史を持つ1). その一方で, 血漿分画製剤は, 数多ある医薬品の中でも議論の多い(controversial)ものの1つである. 非加熱の血液凝固因子製剤によって多くの血友病患者がHIVに感染した事件2), またフィブリノゲン製剤や血液凝固第IX因子製剤によるHCVへの感染の問題3)など, 血漿分画製剤は, 日本における薬害の原因として大きな社会的問題となった. 血漿分画製剤が議論を呼ぶのは, 有限な人の血液を由来にする医薬品であるということ, そして, その使用による病原体伝播の可能性が完全には否定できないという2つの特性を持つからであろう. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.12-00282 |