頸部腫瘤摘出・生検後に中咽頭癌と診断された症例の検討

中咽頭癌は頸部腫瘤が初発症状となることもあり, 頸部腫瘤摘出・生検後の精査にて原発が判明する場合もある. 今回われわれは頸部腫瘤摘出・生検後に中咽頭癌と診断された症例について検討を行った. 対象は1998年1月から2013年12月までの16年間に頸部腫瘤摘出・生検後に中咽頭癌と診断された11例である. 頸部腫瘤摘出・生検の経緯は, 診断確定のためにリンパ節生検を行ったのが6例, 側頸嚢胞の術前診断にて摘出術を行ったのが4例, 原発不明癌として頸部郭清術を行ったのが1例であった. 頸部腫瘤摘出・生検後に判明した原発巣は口蓋扁桃が6例, 舌根が5例であった. 口蓋扁桃原発例は6例中5例がヒト乳頭腫...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 117; no. 12; pp. 1463 - 1470
Main Authors 水町, 貴諭, 加納, 里志, 坂下, 智博, 畠山, 博充, 本間, 明宏, 福田, 諭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.12.2014
日本耳鼻咽喉科学会
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Summary:中咽頭癌は頸部腫瘤が初発症状となることもあり, 頸部腫瘤摘出・生検後の精査にて原発が判明する場合もある. 今回われわれは頸部腫瘤摘出・生検後に中咽頭癌と診断された症例について検討を行った. 対象は1998年1月から2013年12月までの16年間に頸部腫瘤摘出・生検後に中咽頭癌と診断された11例である. 頸部腫瘤摘出・生検の経緯は, 診断確定のためにリンパ節生検を行ったのが6例, 側頸嚢胞の術前診断にて摘出術を行ったのが4例, 原発不明癌として頸部郭清術を行ったのが1例であった. 頸部腫瘤摘出・生検後に判明した原発巣は口蓋扁桃が6例, 舌根が5例であった. 口蓋扁桃原発例は6例中5例がヒト乳頭腫ウイルス (Human Papillomavirus; HPV) 陽性で, 舌根原発例は5例中3例が HPV 陽性であった. 頸部腫瘤摘出・生検から原発確定までの期間は1~13カ月であった. 全症例に対して最終的には放射線療法または化学放射線療法が施行されており, 放射線治療後は現在まで再発や転移はなく経過している. 近年 HPV 関連中咽頭癌が増加傾向にあり, 頸部腫瘤を初発症状とする中咽頭癌症例は増加するものと思われる. 頸部腫瘤の鑑別に当たっては中咽頭を十分に精査する必要があると思われた. また, HPV 関連中咽頭癌は転移リンパ節が嚢胞性を呈することがあり, 頸部嚢胞性病変の鑑別においては中咽頭癌の転移リンパ節も念頭に置く必要があると思われた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.117.1463