スルファメトキサゾール/トリメトプリム配合剤の投与による血清クレアチニンの上昇とその要因:正常な腎機能を有する日本人患者を対象とした遡及的解析

[緒言] スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole; SMX)-トリメトプリム(trimethoprim; TMP)配合剤(ST合剤)は, 持続性サルファ剤であるSMXと2,4-ジアミノピリミジン系の抗菌物質であるTMPが5:1の割合で配合された合成抗菌剤である.1-3) 1960年代から臨床で使用されており,4) 錠剤, 顆粒剤及び注射剤の剤形が現在市販されている.1-3) その抗菌作用は, SMXが細菌の葉酸合成過程でp-アミノ安息香酸と競合して, ジヒドロ葉酸の合成を阻害することに加え, TMPはジヒドロ葉酸から活性葉酸(テトラヒドロ葉酸)への還元を酵素的に阻害することに...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 133; no. 5; pp. 587 - 595
Main Authors 井上, 真由美, 川井, 龍美, 宗, 村盛, 島田, 侯陛, 高野, 賢児, 伴野, 和夫, 鈴木, 豊史, 深水, 啓朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.05.2013
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.12-00273

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Summary:[緒言] スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole; SMX)-トリメトプリム(trimethoprim; TMP)配合剤(ST合剤)は, 持続性サルファ剤であるSMXと2,4-ジアミノピリミジン系の抗菌物質であるTMPが5:1の割合で配合された合成抗菌剤である.1-3) 1960年代から臨床で使用されており,4) 錠剤, 顆粒剤及び注射剤の剤形が現在市販されている.1-3) その抗菌作用は, SMXが細菌の葉酸合成過程でp-アミノ安息香酸と競合して, ジヒドロ葉酸の合成を阻害することに加え, TMPはジヒドロ葉酸から活性葉酸(テトラヒドロ葉酸)への還元を酵素的に阻害することによって示される. SMXとTMPの配合により, 細菌の葉酸代謝経路の連続した2ヵ所を同時に阻害することができ, 相乗的な抗菌作用の増大が認められる.4-7) また, ST合剤は経口投与で容易に吸収されることから,1,2) 消化管機能が正常であれば経口投与によっても静注時と同等の血中濃度が得られ, その持続性もよい.8,9)
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.12-00273