ダニ舌下免疫療法中に舌下部に発症した単純ヘルペスウイルス感染症

舌下免疫療法 (SLIT) の副反応はアレルゲンに暴露される口腔内の局所アレルギー反応が中心で, 大部分は軽症で治療の必要はない. 今回, ダニ SLIT の増量期には副反応が見られなかったものの, 維持期初日から舌下部の痒みと腫脹を繰り返し, 2週間後, 同部に単純ヘルペスウイルス (HSV) 感染を発症した37歳男性患者を経験した. 抗 HSV 薬を投与し, 発症後22日目には後遺症を残すことなく治癒した. 発症要因として SLIT による舌下部粘膜上皮のバリア機構の破綻, および IFN-α 産生低下による抗ウイルス作用の低下が考えられた. ダニ SLIT 中の舌下部粘膜腫脹は, HSV...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 124; no. 7; pp. 1021 - 1025
Main Author 江浦, 正郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.07.2021
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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Summary:舌下免疫療法 (SLIT) の副反応はアレルゲンに暴露される口腔内の局所アレルギー反応が中心で, 大部分は軽症で治療の必要はない. 今回, ダニ SLIT の増量期には副反応が見られなかったものの, 維持期初日から舌下部の痒みと腫脹を繰り返し, 2週間後, 同部に単純ヘルペスウイルス (HSV) 感染を発症した37歳男性患者を経験した. 抗 HSV 薬を投与し, 発症後22日目には後遺症を残すことなく治癒した. 発症要因として SLIT による舌下部粘膜上皮のバリア機構の破綻, および IFN-α 産生低下による抗ウイルス作用の低下が考えられた. ダニ SLIT 中の舌下部粘膜腫脹は, HSV 感染発症の誘因となり得るので注意が必要である.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.124.1021