わが国における進行腎細胞がん患者に対するスニチニブ対インターフェロンαの費用効果分析

「緒言」進行腎細胞がんの治療は, interferon-alpha(IFN-α)を中心とするサイトカイン療法が行われてきた. IFN-αはメドロキシプロゲステロンと比較して, 増悪や死亡リスクが28%低く, 生存期間の延長が示されている. 2008年より分子標的薬であるスニチニブが腎細胞がんに投与可能となり, 腎細胞がんに対する治療選択肢が広がった. スニチニブはIFN-αと比較して無増悪生存期間, 全生存期間, 奏効率において上回る治療成績が示され, 広く用いられるようになってきた. 副作用は, IFN-αでは発熱, 悪寒, 筋肉痛などのインフルエンザ様症状や, 倦怠感, 白血球減少症などが...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 138; no. 11; pp. 1397 - 1407
Main Authors 戸村, 和希, 内藤, 由貴, 須永, 登美子, 栗原, 竜也, 臼田, 昌弘, 永谷, 明子, 小川, 由美子, 秋山, 菜央, 佐々木, 春明, 村田, 達教, 坂巻, 弘之, 向後, 麻里, 佐々木, 忠徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.11.2018
日本薬学会
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Summary:「緒言」進行腎細胞がんの治療は, interferon-alpha(IFN-α)を中心とするサイトカイン療法が行われてきた. IFN-αはメドロキシプロゲステロンと比較して, 増悪や死亡リスクが28%低く, 生存期間の延長が示されている. 2008年より分子標的薬であるスニチニブが腎細胞がんに投与可能となり, 腎細胞がんに対する治療選択肢が広がった. スニチニブはIFN-αと比較して無増悪生存期間, 全生存期間, 奏効率において上回る治療成績が示され, 広く用いられるようになってきた. 副作用は, IFN-αでは発熱, 悪寒, 筋肉痛などのインフルエンザ様症状や, 倦怠感, 白血球減少症などがあり, スニチニブでは白血球減少症や血小板減少症, 下痢, 血圧上昇, 手足症候群などがある. 副作用の発現は, 治療の継続を困難にし, 患者のQOLを低下させ, 追加治療に対する医療費の増大や患者の生産性低下などをもたらす可能性がある.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00189