健常妊婦における栄養と妊娠経過に関する中間解析

【目的】健常妊婦を対象に,妊娠末期に3日間の食事調査を実施し,妊娠中の栄養摂取状況を明らかにするとともに,初診時および出産時のBMIと低出生体重児(LBWI)出産との関連について前向きに検討する。 【方法】妊娠13週までに都内産科医院を初診した,単胎妊娠かつ正常血圧で糖尿病の既往がない妊婦199名を対象に,妊娠末期(28~32週)において3日間の食事調査を実施,栄養素別摂取量を算出した。また,初診時および出産時BMIとLBWI出産との関係をロジスティック回帰分析により検討した。 【結果】平均総摂取エネルギー量は 1,768±286 kcalで,日本人の食事摂取基準における妊娠末期推定エネルギー...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 71; no. 5; pp. 242 - 252
Main Authors 谷内, 洋子, 曽根, 博仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 2013
日本栄養改善学会
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ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.71.242

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Summary:【目的】健常妊婦を対象に,妊娠末期に3日間の食事調査を実施し,妊娠中の栄養摂取状況を明らかにするとともに,初診時および出産時のBMIと低出生体重児(LBWI)出産との関連について前向きに検討する。 【方法】妊娠13週までに都内産科医院を初診した,単胎妊娠かつ正常血圧で糖尿病の既往がない妊婦199名を対象に,妊娠末期(28~32週)において3日間の食事調査を実施,栄養素別摂取量を算出した。また,初診時および出産時BMIとLBWI出産との関係をロジスティック回帰分析により検討した。 【結果】平均総摂取エネルギー量は 1,768±286 kcalで,日本人の食事摂取基準における妊娠末期推定エネルギー必要量を下回っていた。ロジスティック回帰分析の結果,初診時BMIのオッズ比は0.54:(95%CI:0.33~0.91)で,母体年齢や妊娠週数などとは独立してLBWI出産と関連を認め(p<0.05),同様に出産時BMIについても0.54:(95%CI:0.33~0.88)とLBWI出産と関連を認めた(p<0.05)。すなわち,BMIが高いほどLBWI出産リスクが低下した。 【結論】対象妊婦において,妊娠末期のエネルギー摂取不足の現状が明らかとなった。また初診時および出産時の低いBMIとLBWI出産に関連があったことから,妊娠前・妊娠中を通して継続的な健康栄養教育の促進が急務と考えられた。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.71.242