高齢者施設における食事中の遊離グルタミン酸含量についての検討

「緒言」高齢者施設一般においては, たんぱく質・エネルギー低栄養患者が30~40%を占めるとの杉山らの報告がある1). 高齢入院患者を抱える当院においては, 特に咀嚼・嚥下機能が低下し全粥ミキサー食を提供している患者では喫食量も少なく, 栄養改善に苦慮している. しかしながら, 「食事」は入院高齢者の生活において「楽しみ」の上位に挙げられており(当院調査), 口から食べることを介した栄養改善はQOL向上にとって非常に重要であると考える. このための解決策の1つとして, おいしく味付けして食欲を改善することが挙げられる. 非必須アミノ酸の1つであるグルタミン酸(Glu)(以下, 遊離Glu)は,...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 122 - 127
Main Authors 三瓶, 彰子, 外山, 健二, 井上, 由紀, 巴, 美樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 2009
日本栄養改善学会
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Summary:「緒言」高齢者施設一般においては, たんぱく質・エネルギー低栄養患者が30~40%を占めるとの杉山らの報告がある1). 高齢入院患者を抱える当院においては, 特に咀嚼・嚥下機能が低下し全粥ミキサー食を提供している患者では喫食量も少なく, 栄養改善に苦慮している. しかしながら, 「食事」は入院高齢者の生活において「楽しみ」の上位に挙げられており(当院調査), 口から食べることを介した栄養改善はQOL向上にとって非常に重要であると考える. このための解決策の1つとして, おいしく味付けして食欲を改善することが挙げられる. 非必須アミノ酸の1つであるグルタミン酸(Glu)(以下, 遊離Glu)は, 特に日本の高齢者の食事に必須の“だし”や“味噌・醤油”などの主たる呈味質の「うま味」を呈する. 欧米の研究から, 味覚感受性が低下した高齢者の食事への遊離Gluの強化によって, おいしく感じることで起こる喫食量増加2)や唾液分泌促進3)を介して, 高齢者のQOLを改善しうることが報告されている.
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.67.122