内視鏡下鼻内手術における術中副損傷および術後合併症の検討
副鼻腔は頭蓋や眼窩などと隣接していること, また解剖学的に複雑でバリエーションも多いことなどより, 視器損傷や髄液鼻漏など, 重篤な術中副損傷の発生が少なからず存在する. 今回われわれは鼻副鼻腔炎症性疾患および嚢胞性疾患に対する内視鏡下鼻内手術において, 多施設における術中副損傷および術後合併症の発生頻度とそれらに関わる因子について検討したので報告する. 対象は2007年4月1日から2008年3月31日までの1年間に東京慈恵会医科大学附属病院および教室関連病院 (計16施設) において内視鏡下鼻内手術を施行した1,382例である. 術中副損傷あるいは術後合併症を起こした症例が80症例 (5.8...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 115; no. 1; pp. 22 - 28 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
01.01.2012
日本耳鼻咽喉科学会 |
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Summary: | 副鼻腔は頭蓋や眼窩などと隣接していること, また解剖学的に複雑でバリエーションも多いことなどより, 視器損傷や髄液鼻漏など, 重篤な術中副損傷の発生が少なからず存在する. 今回われわれは鼻副鼻腔炎症性疾患および嚢胞性疾患に対する内視鏡下鼻内手術において, 多施設における術中副損傷および術後合併症の発生頻度とそれらに関わる因子について検討したので報告する. 対象は2007年4月1日から2008年3月31日までの1年間に東京慈恵会医科大学附属病院および教室関連病院 (計16施設) において内視鏡下鼻内手術を施行した1,382例である. 術中副損傷あるいは術後合併症を起こした症例が80症例 (5.8%) あり, 過去の報告と同様に眼窩内側壁損傷の頻度が一番高かった. 副損傷/合併症群と非副損傷/合併症群とを比較すると性別, 麻酔方法, 糖尿病の既往の有無で有意差を認めた. また, 多重ロジスティック回帰分析では, 患者が男性であること (p=0.003, オッズ比 2.50, 95%信頼区間 1.35-4.55), 全身麻酔下での手術 (p=0.014, オッズ比 3.21, 95%信頼区間 1.27-8.12) が副損傷/合併症に関わる因子であった. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.115.22 |