心因性めまいと考えられた症例の重心動揺検査と視覚フィードバック検査の比較

心因性めまいは, 神経耳科学的に眼振や眼運動系検査に異常がないにもかかわらず, ふらつきなどのめまい症状を訴えることから診断に苦慮することが多い. 今回, 重心動揺検査とともに動的体平衡機能検査である視覚フィードバック検査を用いて心因性めまいの体平衡検査での特徴を見いだすこととした.  対象は, 心因性めまいと考えられた14例であり, 比較に同年代の健常者92名を用いた. 視覚フィードバック検査は, モニターに表示された目標円に被検者の重心の位置を常に入れるように指示し, 目標円である表示サークルに入る割合 (%) で評価する. 心因性めまい患者は, 健常者に比較して開閉眼ともに外周面積が大き...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 120; no. 2; pp. 115 - 122
Main Authors 吉田, 友英, 山本, 昌彦, 田中, 稔丈, 池宮城, 芙由子, 鈴木, 光也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.02.2017
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:心因性めまいは, 神経耳科学的に眼振や眼運動系検査に異常がないにもかかわらず, ふらつきなどのめまい症状を訴えることから診断に苦慮することが多い. 今回, 重心動揺検査とともに動的体平衡機能検査である視覚フィードバック検査を用いて心因性めまいの体平衡検査での特徴を見いだすこととした.  対象は, 心因性めまいと考えられた14例であり, 比較に同年代の健常者92名を用いた. 視覚フィードバック検査は, モニターに表示された目標円に被検者の重心の位置を常に入れるように指示し, 目標円である表示サークルに入る割合 (%) で評価する. 心因性めまい患者は, 健常者に比較して開閉眼ともに外周面積が大きく, 単位面積軌跡長が小さい結果であった. また, 健常者の平均パワー分布を求め, 健常者の平均値との差分をその周波数のバラツキ (SD 値) で割った MEM で評価すると, 開眼では左右・前後位置パワースペクトラムで中心周波数 0.125Hz のパワーが大きく, 非常にゆっくりとした大きな動きをもって体平衡を保っているということができる. さらに, 視覚フィードバック検査では, 心因性めまい患者と健常者では有意差はみられなかった. この結果より心因性めまい患者では自発的な姿勢保持機能そのものは健常者と変わらないことが分かった. これらの検査ですべて心因性めまい疾患を鑑別できるわけではないが, 有意な診断検査法の一つとして有用であると考えられる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.120.115