病的骨折をきたした骨サルコイドーシスの一例

症例は43歳女性. 2001年4月の職場検診にて両側肺門リンパ節腫脹を指摘された. 臨床的にサルコイドーシスと診断され, 以後経過観察となった. 2003年11月頃から左第V指, 第II趾の関節腫脹を自覚するようになった. その後, 左第V指の腫脹が徐々に進行したため, 2004年1月に当科再入院となった. 入院時, 両側膝関節伸側に皮疹を認め, 生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が検出された. 骨病変についてはX線画像, シンチグラム, MRIの所見より骨サルコイドーシスが疑われたが, 治療適応との判断となり, 再び経過観察となった. 2004年2月には左第V指の疹痛が出現, X線画像にて指節...

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Published inNIHON SARUKOIDOSHISU / NIKUGESHUSHIKKAN (The Japanese journal of sarcoidosis and other granulomatous disorders ) Vol. 25; no. 1; pp. 45 - 51
Main Authors 伊東, 猛雄, 安東, 優, 小野, 恵美子, 広重, 滋夫, 竹中, 隆一, 濡木, 眞一, 上野, 拓也, 松野, 治, 宮崎, 英士, 熊本, 俊秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会 2005
Japan Society of Sarcoidosis and other Granulomatous Disorders
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Summary:症例は43歳女性. 2001年4月の職場検診にて両側肺門リンパ節腫脹を指摘された. 臨床的にサルコイドーシスと診断され, 以後経過観察となった. 2003年11月頃から左第V指, 第II趾の関節腫脹を自覚するようになった. その後, 左第V指の腫脹が徐々に進行したため, 2004年1月に当科再入院となった. 入院時, 両側膝関節伸側に皮疹を認め, 生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が検出された. 骨病変についてはX線画像, シンチグラム, MRIの所見より骨サルコイドーシスが疑われたが, 治療適応との判断となり, 再び経過観察となった. 2004年2月には左第V指の疹痛が出現, X線画像にて指節間関節に骨折像を認めた. 観血的に骨掻爬, 腸骨片による再建術が施され, その際に採取された骨組織より非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め, 骨サルコイドーシスによる病的骨折と診断した. 左第II趾の骨病変に対してプレドニソロン30mg/日による内服加療を施行し, 現在まで骨折は生じていない. しかし, 左第V指の術後の骨癒合は不良で, 左第II趾も増悪傾向にある. 骨サルコイドーシスによる指趾の病的骨折をきたした報告は少なく, 貴重な症例であると考えられたため, 文献的検討を加えて報告する.
ISSN:1345-0565
1884-6122
DOI:10.14830/jssog1999.25.45