細胞移植による心筋再生療法

I 心疾患への細胞移植による再生療法 近年, 傷害を受けたり欠損したりした組織や臓器を再生させて機能を回復させるという再生医学/再生医療が注目され, 心血管疾患の分野においてもこれを利用した新たな治療法が試みられている. 特に, 自己骨髄細胞を用いた血管再生療法は閉塞性動脈硬化症やバージャー病などの末梢血管疾患に臨床応用されて有効性と安全性が示されたことから, 最近では虚血性心疾患にも応用されてきており, 虚血性・非虚血性心筋症での臨床試験も開始されている1)2). 信州大学でも現在までに2例の重症虚血性心疾患患者さんに対して自己骨髄CD34陽性細胞の移植治療を実施し, 良好な結果を得ている....

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Published in信州医学雑誌 Vol. 55; no. 5; pp. 299 - 300
Main Author 高橋, 将文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2007
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Summary:I 心疾患への細胞移植による再生療法 近年, 傷害を受けたり欠損したりした組織や臓器を再生させて機能を回復させるという再生医学/再生医療が注目され, 心血管疾患の分野においてもこれを利用した新たな治療法が試みられている. 特に, 自己骨髄細胞を用いた血管再生療法は閉塞性動脈硬化症やバージャー病などの末梢血管疾患に臨床応用されて有効性と安全性が示されたことから, 最近では虚血性心疾患にも応用されてきており, 虚血性・非虚血性心筋症での臨床試験も開始されている1)2). 信州大学でも現在までに2例の重症虚血性心疾患患者さんに対して自己骨髄CD34陽性細胞の移植治療を実施し, 良好な結果を得ている. しかし, 実際に臨床に使用される細胞からの心筋再生は非常に難しいことも明らかとなっている. 一方, これまで行われた多くの臨床試験によってその治療効果が示唆されていることから, 現在では心筋再生以外の機序での作用, なかでも移植細胞や移植周囲の組織から産生されるサイトカイン・増殖因子によるパラクライン作用がその主な機序であると推測されている.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.55.299