心不全に対するトルバプタン導入患者の体重及びBNP減少の予測因子に関する後ろ向き観察研究

「緒言」 心不全治療において, 利尿薬はうっ血などの症状を改善する薬として頻用されている. トルバプタン(tolvaptan; TLV)はバソプレシンV2受容体拮抗作用を有し, 水利尿作用をあらわすため, ループ利尿薬と比較して尿中への電解質の流出が少ない利尿薬である. 急性・慢性心不全診療ガイドラインでは, TLVは左室駆出率が低下した病態において, ループ利尿薬を始めとする他の利尿薬で効果不十分な心不全に対して使用が推奨されている. 近年, TLVは早期に導入することで既存の利尿薬の投与量を減らし, 腎機能の悪化を遅らせるという報告もあり, 心不全の早期の段階で使用されることも多くなってき...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 141; no. 2; pp. 281 - 288
Main Authors 森, 卓之, 篠田, 康孝, 吉村, 知哲, 篠田, 梨恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.02.2021
日本薬学会
Subjects
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.20-00221

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Summary:「緒言」 心不全治療において, 利尿薬はうっ血などの症状を改善する薬として頻用されている. トルバプタン(tolvaptan; TLV)はバソプレシンV2受容体拮抗作用を有し, 水利尿作用をあらわすため, ループ利尿薬と比較して尿中への電解質の流出が少ない利尿薬である. 急性・慢性心不全診療ガイドラインでは, TLVは左室駆出率が低下した病態において, ループ利尿薬を始めとする他の利尿薬で効果不十分な心不全に対して使用が推奨されている. 近年, TLVは早期に導入することで既存の利尿薬の投与量を減らし, 腎機能の悪化を遅らせるという報告もあり, 心不全の早期の段階で使用されることも多くなってきている. TLV導入時は, その水利尿の影響により血中ナトリウムの変動が生じ易く, 橋中心髄鞘崩壊症のような重篤な副作用のリスクがある. そのため, TLV導入時は, 入院し, 頻回の採血を行い, 患者をモニタリングする必要がある.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.20-00221