食中毒症状と推測される消化器症状を先行したRaoultella planticola菌血症の1例
Raoultella planticola(以下,R. planticola)は土壌などに生息する環境微生物であり,正常免疫患者への感染は非常にまれである。われわれは正常免疫患のR. planticola菌血症症例を経験したので報告する。症例は 86歳,男性,腹部膨満感・腹痛・嘔吐を主訴に受診した。腹部 X線検査で一部ニボーを形成しており,既往歴から術後癒着性イレウスを第一に考え保存的加療を開始した。消化器症状はすみやかに軽快したが,入院 4日目に悪寒戦慄を伴う発熱が出現した。血液培養検鏡でグラム陰性桿菌を認めたため,既往歴を考慮し胆管炎を鑑別疾患にあげ,sulbactam/ampicilli...
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Published in | 日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 2; pp. 195 - 200 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本外科感染症学会
30.04.2018
Japan Society for Surgical Infection |
Subjects | |
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ISSN | 1349-5755 2434-0103 |
DOI | 10.24679/gekakansen.15.2_195 |
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Summary: | Raoultella planticola(以下,R. planticola)は土壌などに生息する環境微生物であり,正常免疫患者への感染は非常にまれである。われわれは正常免疫患のR. planticola菌血症症例を経験したので報告する。症例は 86歳,男性,腹部膨満感・腹痛・嘔吐を主訴に受診した。腹部 X線検査で一部ニボーを形成しており,既往歴から術後癒着性イレウスを第一に考え保存的加療を開始した。消化器症状はすみやかに軽快したが,入院 4日目に悪寒戦慄を伴う発熱が出現した。血液培養検鏡でグラム陰性桿菌を認めたため,既往歴を考慮し胆管炎を鑑別疾患にあげ,sulbactam/ampicillinで治療を開始した。入院6日目には解熱し,血液培養からR. planticolaが同定されたため,抗生剤をcefazolinにde-escalationした。その後cefaclor内服に変更,抗菌薬投与期間は合計14日間とした。その後は発熱や消化器症状は認めていない。 |
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ISSN: | 1349-5755 2434-0103 |
DOI: | 10.24679/gekakansen.15.2_195 |