スギ舌下免疫療法3シーズン目の効果皮下免疫療法との比較

スギ花粉症に対する舌下免疫療法が臨床応用され5シーズンが経過した. しかし, その効果や副反応など治療の実態には不明な点が多い. 今回, 2015~2017年の3年間に舌下免疫療法3シーズン治療終了群126例と皮下免疫療法3シーズン治療終了群の31例の計157例に自記式質問票を用いてアドヒアランス, 自覚的治療効果, 副反応, 治療に伴う負担度, 治療満足度, 治療の継続希望について調査を行った. その結果, アドヒアランスは両群で70%以上の患者がほぼスケジュール通り治療を受けており, 自覚している有効性には両群間で有意差が認められなかった. また, 副反応は舌下免疫療法群で4例, 皮下免疫...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 124; no. 5; pp. 748 - 755
Main Authors 野口, 直哉, 太田, 伸男, 湯田, 厚司, 小川, 由起子, 草野, 佑典, 東海林, 史, 北谷, 栞, 鈴木, 直弘, 草刈, 千賀志, 田畑, 邦次, 郭, 冠宏, 沖津, 尚弘, 長谷川, 純, 柴原, 義博, 中林, 成一郎, 稲村, 直樹, 大井, 聖幸, 高梨, 芳崇, 鈴木, 淳, 菅原, 充, 野村, 和弘, 香取, 幸夫, 岡本, 美孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.05.2021
日本耳鼻咽喉科学会
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Summary:スギ花粉症に対する舌下免疫療法が臨床応用され5シーズンが経過した. しかし, その効果や副反応など治療の実態には不明な点が多い. 今回, 2015~2017年の3年間に舌下免疫療法3シーズン治療終了群126例と皮下免疫療法3シーズン治療終了群の31例の計157例に自記式質問票を用いてアドヒアランス, 自覚的治療効果, 副反応, 治療に伴う負担度, 治療満足度, 治療の継続希望について調査を行った. その結果, アドヒアランスは両群で70%以上の患者がほぼスケジュール通り治療を受けており, 自覚している有効性には両群間で有意差が認められなかった. また, 副反応は舌下免疫療法群で4例, 皮下免疫療法群で2例と有意な差を認めなかった. 副反応のすべてが特に処置を必要としない軽微な反応で, その多くが口腔症状であった. 治療に伴う負担度は舌下免疫療法群で有意に低かった. 治療の満足度と治療の継続希望は両群で有意な差を認めなかった. 舌下免疫療法はスギ花粉症の有効な治療法の一つであるが, 副反応への対応を念頭に置くことが肝要であると考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.124.748