下咽頭梨状陥凹瘻手術症例の検討
当科で根治手術を行った下咽頭梨状陥凹瘻の13症例を臨床的に検討した. 患側は12例 (92%) が左側で1例のみ (8%) 右側に発生しており, 確定診断までの感染回数は平均4回であった. 発症年齢は中央値5歳, 手術時年齢は中央値13歳であったが60歳以上の高齢者も2例みられ, 81歳発症症例は咽頭異物の関与が推察された. 確定診断以前に頸部の疾患として手術を受けた既往が54%にみられた. 診断は下咽頭造影での瘻孔の描出をもって確定診断とした. CTおよびMRIは, 特に冠状断が病態の把握に有用であった. 当科での術式は, まず直達下咽頭鏡で瘻孔を確認し染色した後に頸部操作に移り, 甲状咽頭...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 110; no. 9; pp. 623 - 628 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
2007
日本耳鼻咽喉科学会 |
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Summary: | 当科で根治手術を行った下咽頭梨状陥凹瘻の13症例を臨床的に検討した. 患側は12例 (92%) が左側で1例のみ (8%) 右側に発生しており, 確定診断までの感染回数は平均4回であった. 発症年齢は中央値5歳, 手術時年齢は中央値13歳であったが60歳以上の高齢者も2例みられ, 81歳発症症例は咽頭異物の関与が推察された. 確定診断以前に頸部の疾患として手術を受けた既往が54%にみられた. 診断は下咽頭造影での瘻孔の描出をもって確定診断とした. CTおよびMRIは, 特に冠状断が病態の把握に有用であった. 当科での術式は, まず直達下咽頭鏡で瘻孔を確認し染色した後に頸部操作に移り, 甲状咽頭筋を切開して梨状陥凹を明視下に置き瘻管を末梢まで同定して摘出する方法をとった. 甲状腺と反回神経の処理は必ずしも行われていなかったが術後再感染した症例はなかった. 手術においては下咽頭との連絡を確実に絶つことが最も重要と考えられ, 当科で行っている瘻管を確実に同定して摘出する術式が有用と思われた. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.110.623 |