乳幼児滲出性中耳炎診断における 1,000Hz ティンパノメトリーの有用性の検討

乳児期早期の滲出性中耳炎の診断には, 226Hz よりも 1,000Hz ティンパノメトリーの方が有用であるとされている. 今回われわれは小児195例384耳に 226Hz および 1,000Hz ティンパノメトリーを行い, 滲出性中耳炎の診断における有用性を検討した. 覚醒している児と比較して入眠中の児の方がティンパノグラムの描出は良好であった. 鼓膜所見正常316耳においては 1,000Hz では A 型および2峰性が計173耳 (54.7%), 226Hz では219耳 (69.3%) であった. 滲出性中耳炎51耳は 1,000Hz では B/flat 型, C型, 陰性が計40耳 (...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 122; no. 7; pp. 960 - 968
Main Authors 前田, 幸英, 菅谷, 明子, 西﨑, 和則, 假谷, 伸, 藤澤, 郁, 片岡, 祐子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.07.2019
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.122.960

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Summary:乳児期早期の滲出性中耳炎の診断には, 226Hz よりも 1,000Hz ティンパノメトリーの方が有用であるとされている. 今回われわれは小児195例384耳に 226Hz および 1,000Hz ティンパノメトリーを行い, 滲出性中耳炎の診断における有用性を検討した. 覚醒している児と比較して入眠中の児の方がティンパノグラムの描出は良好であった. 鼓膜所見正常316耳においては 1,000Hz では A 型および2峰性が計173耳 (54.7%), 226Hz では219耳 (69.3%) であった. 滲出性中耳炎51耳は 1,000Hz では B/flat 型, C型, 陰性が計40耳 (78.4%), 226Hz では39耳 (76.5%) であった. 滲出性中耳炎の診断における 1,000Hz での正診率, 診断オッズ比, 陽性尤度比, 陰性尤度比は70.8%, 16.7, 2.742, 0.164であり, 226Hz でのこれらの値は85.7%, 27.9, 6.045, 0.217であった. 今回の研究において, 滲出性中耳炎の有無が正しく診断される率は 226Hz ティンパノメトリーの方が高かったが, 正常波形が検出された場合には 1,000Hz 方が正確か少なくとも同等であった. 生後9カ月未満例と9カ月以上例に分けて検討したが, 診断における有用性は 226Hz の方が高かった. 乳幼児の滲出性中耳炎の診断精度を上げるには, 226Hz と 1,000Hz 併用に加え聴力検査や画像検査等の考慮も必要である.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.122.960