頭頸部進行癌に対する上腕動脈経由の超選択的動注療法の適応とその有用性 —セルジンガー法不能症例に対する検討
頭頸部進行癌の最大の予後因子は頸部リンパ節の制御である. 頸部リンパ節の栄養血管は外頸動脈の分枝と鎖骨下動脈の分枝があるが, 最大の栄養血管は甲状頸動脈およびその分枝であることをわれわれは報告してきた. しかし, その分枝は複雑で挿入は必ずしも容易ではなくSeldinger法の弱点でもある. Seldinger法で挿入できない25例を対象に上腕動脈経由に挿入した. 目的: 上腕動脈経由の動注法の有用性を検討した. 方法: 血管造影室にて上腕動脈より穿刺し, CT-アンギオで腫瘍範囲と脊髄神経枝の有無を確認し, CDDP 100-150mg/m2,DOC 10-15mg/m2 動注した. 有用性...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 115; no. 6; pp. 625 - 631 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
2012
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.115.625 |
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Summary: | 頭頸部進行癌の最大の予後因子は頸部リンパ節の制御である. 頸部リンパ節の栄養血管は外頸動脈の分枝と鎖骨下動脈の分枝があるが, 最大の栄養血管は甲状頸動脈およびその分枝であることをわれわれは報告してきた. しかし, その分枝は複雑で挿入は必ずしも容易ではなくSeldinger法の弱点でもある. Seldinger法で挿入できない25例を対象に上腕動脈経由に挿入した. 目的: 上腕動脈経由の動注法の有用性を検討した. 方法: 血管造影室にて上腕動脈より穿刺し, CT-アンギオで腫瘍範囲と脊髄神経枝の有無を確認し, CDDP 100-150mg/m2,DOC 10-15mg/m2 動注した. 有用性を挿入率, 挿入時間, 効果, 安全性より評価した. 結果: 本法によりSeldinger法で挿入できなかった全症例に挿入できた. 脳梗塞等の合併症はなかった. 当日より歩行や座位が可能であった. 挿入時間は平均25分 (15-40分) であった. Seldinger法では60分以上をかけても挿入できなかった. 化学放射線療法の奏功率は100%であり, 5年粗生存率は38%であった. 結論: Seldinger法で挿入できない鎖骨下動脈の分枝を栄養血管とする頸部リンパ節転移症や下咽頭癌, 喉頭癌, 頸部食道癌に上腕動脈経由の動注療法は安全で有効と考えられた. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.115.625 |