神経症性障害の当事者活動における日記指導の有用性

神経症性障害の当事者活動である森田療法理論を基盤とする生活の発見会の初心者向けの学習会で日記指導を受けた12名と,日記指導を行った8名にインタヴュー調査を実施した。日記の書き手は,深く人間関係を築き,同じ仲間の共感を得て,あるがままの自分を受け入れ,自己肯定感の獲得をしていた。また日記指導者は,日記指導自体が自己治癒の過程となっていた。次に,日記指導の実際の内容を3事例で分析した結果,3事例とも「共感期」から「能動的あるがまま期」に到達していた。日記指導のコメントは,「支持」「肯定的評価」「共感」「明確化」「認知の切り替え」「森田理論」「経験からのアドバイス」「自己開示」「仲間意識」の9機能で...

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Published inJOURNAL OF THE KYORIN MEDICAL SOCIETY Vol. 42; no. 1; pp. 12 - 27
Main Author 浅沼, 奈美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 2011
The Kyorin Medical Society
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ISSN0368-5829
1349-886X
DOI10.11434/kyorinmed.42.12

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Summary:神経症性障害の当事者活動である森田療法理論を基盤とする生活の発見会の初心者向けの学習会で日記指導を受けた12名と,日記指導を行った8名にインタヴュー調査を実施した。日記の書き手は,深く人間関係を築き,同じ仲間の共感を得て,あるがままの自分を受け入れ,自己肯定感の獲得をしていた。また日記指導者は,日記指導自体が自己治癒の過程となっていた。次に,日記指導の実際の内容を3事例で分析した結果,3事例とも「共感期」から「能動的あるがまま期」に到達していた。日記指導のコメントは,「支持」「肯定的評価」「共感」「明確化」「認知の切り替え」「森田理論」「経験からのアドバイス」「自己開示」「仲間意識」の9機能であった。日記指導のコメントの特徴は,「肯定的評価」が,3事例とも同じ割合で,自己フォーカスのプロセスを促進し,森田理論を生活の中に浸透させていく過程で偏った認知を修正し具体的な生活方法を,当事者の立場から示し,初心者向けの学習会の期間を支援する伴走者の役割が存在した。
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.42.12