鼻・副鼻腔inverted papillomaに対する術式の検討

Inverted papillomaは良性腫瘍だが, 再発の頻度が高くまた悪性化が報告されており, 初回手術の確実な摘出が極めて重要である. われわれは2000年以降に当科で手術を施行した鼻・副鼻腔inverted papillomaの24例 (32件) に対して, 術式とその再発率・再発部位等について, 篩骨眼窩板 (眼窩紙様板) および涙骨の処理に着目して検討を行った. 32件中9件に再発を認め, 再発部位はすべて眼窩紙様板周辺であった. 2002年までは17件中7件に再発を認め再発率は41%であった. そのため基本術式の選択基準を変更した. すなわち, 2003年以降は腫瘍が眼窩紙様板や...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 111; no. 8; pp. 581 - 587
Main Authors 遠藤, 亮, 山田, 昌宏, 塩野, 理, 佃, 守, 三嶽, 大貴, 小松, 正規, 佐久間, 康徳, 河野, 敏朗, 石戸谷, 淳一, 山下, ゆきこ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2008
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.111.581

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Summary:Inverted papillomaは良性腫瘍だが, 再発の頻度が高くまた悪性化が報告されており, 初回手術の確実な摘出が極めて重要である. われわれは2000年以降に当科で手術を施行した鼻・副鼻腔inverted papillomaの24例 (32件) に対して, 術式とその再発率・再発部位等について, 篩骨眼窩板 (眼窩紙様板) および涙骨の処理に着目して検討を行った. 32件中9件に再発を認め, 再発部位はすべて眼窩紙様板周辺であった. 2002年までは17件中7件に再発を認め再発率は41%であった. そのため基本術式の選択基準を変更した. すなわち, 2003年以降は腫瘍が眼窩紙様板や涙骨に癒着している症例では積極的に眼窩紙様板および涙骨の部分的合併摘出 (鼻外篩骨洞前頭洞拡大手術) を行った. その結果15件中2件の再発で再発率は13%に改善した. 近年, inverted papillomaに対する術式として低侵襲な内視鏡下鼻内手術の報告が多い中, 眼窩紙様板および涙骨の部分的合併摘出は, 進行症例に対する根治治療として非常に有用であると思われた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.111.581