アルツハイマー病の眼球運動と前庭機能の異常について

アルツハイマー病に合併する眼球運動異常や律動性眼球運動混入(saccadic intrusions),前庭機能障害について解説する.アルツハイマー病などの認知症では眼球運動や前庭異常がバランス障害につながり,転倒・骨折などのQOL低下や病状進行に影響する可能性がある.アルツハイマー病はsaccadeやpursuitの異常や前庭機能障害を高率に合併する.さらにmicrosaccades,square-wave jerksといった律動性眼球運動混入を合併する.海馬はアルツハイマー病の病態において重要である.海馬と前庭間の相互作用を根拠に,アルツハイマー病に合併する前庭機能障害の研究が多く報告されて...

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Published in神経眼科 Vol. 40; no. 3; pp. 204 - 213
Main Author 中馬越, 清隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.09.2023
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.40.204

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Summary:アルツハイマー病に合併する眼球運動異常や律動性眼球運動混入(saccadic intrusions),前庭機能障害について解説する.アルツハイマー病などの認知症では眼球運動や前庭異常がバランス障害につながり,転倒・骨折などのQOL低下や病状進行に影響する可能性がある.アルツハイマー病はsaccadeやpursuitの異常や前庭機能障害を高率に合併する.さらにmicrosaccades,square-wave jerksといった律動性眼球運動混入を合併する.海馬はアルツハイマー病の病態において重要である.海馬と前庭間の相互作用を根拠に,アルツハイマー病に合併する前庭機能障害の研究が多く報告されている.アルツハイマー病のバイオマーカーとして眼球運動検査や前庭機能の有用性を今後も追及していくべきである.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.40.204