多発性硬化症・視神経脊髄炎関連疾患ガイドライン2023における眼科医がおさえておくべきポイント

このたび「多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害 診療ガイドライン2023」が多発性硬化症・視神経脊髄炎の診断・治療の指針として発刊され,治療だけでなく,疫学・病因や詳細な病態,そして必要な検査から診断に至るまで,治療後の経過やその予後といったところまで広く網羅されている.本ガイドラインで眼科医が主に関連するのは中枢神経系炎症性脱髄疾患で視神経炎を合併し視力障害や視野障害がみられた症例である.具体的には多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)に伴う視神経炎,ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質抗体関連疾患(myelin oligodendrocyte glycoprot...

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Published in神経眼科 Vol. 41; no. 2; pp. 113 - 125
Main Author 横内, 裕敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.06.2024
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.41.113

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Summary:このたび「多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害 診療ガイドライン2023」が多発性硬化症・視神経脊髄炎の診断・治療の指針として発刊され,治療だけでなく,疫学・病因や詳細な病態,そして必要な検査から診断に至るまで,治療後の経過やその予後といったところまで広く網羅されている.本ガイドラインで眼科医が主に関連するのは中枢神経系炎症性脱髄疾患で視神経炎を合併し視力障害や視野障害がみられた症例である.具体的には多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)に伴う視神経炎,ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質抗体関連疾患(myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody-associated disease: MOGAD)視神経炎,視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disease: NMOSD)であり,それらの臨床像や検査所見がそれぞれの疾患に特徴的なことが解説されている.眼科医がこれらの疾患に直接携わる機会があるのは視神経炎が合併した症例に限られるが,この際に視力,対光反射,眼底検査,相対的瞳孔求心路障害(relative afferent pupillary defect: RAPD),限界フリッカ値(CFF)の測定,視野検査,加えて光干渉断層計(OCT)検査を視神経炎発症後も継続的に施行することの重要性が本ガイドラインで示されている.視神経の評価にMRI(magnetic resonance imaging)撮像の重要性が再認識され,萎縮性または活動性炎症の判別には造影MRIの必要性も示された.本ガイドラインの要旨とその背景,さらには最新のエビデンスに基づく考え方とはどのようなものか,眼科医がとくに抑えておくべきポイントについてまとめてみたい.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.41.113