トシリズマブが奏功した動脈炎性前部虚血性視神経症の1例

ステロイド治療中に僚眼発症を来した動脈炎性前部虚血性視神経症にトシリズマブが奏功した1例を報告する.症例は85歳,女性で,初診時視力は右眼手動弁,左眼0.7であった.右眼の相対的瞳孔求心路障害が陽性で,右眼視神経乳頭は蒼白浮腫を呈しており,右眼動脈炎性前部虚血性視神経症が疑われた.ステロイドパルス療法を施行したが,僚眼発症を来し,側頭動脈生検で炎症細胞浸潤,巨細胞が確認された.ステロイド治療に抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)投与を併用し,治療開始100日目で視力は右眼0.02,左眼0.3を維持している.活動性の高い動脈炎性前部虚血性視神経症はステロイド治療に加え,トシリズマブの併用が有用と...

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Published in神経眼科 Vol. 37; no. 4; pp. 423 - 428
Main Authors 小野, 貴暁, 三戸, 裕美, 岡本, 直記, 後藤, 克聡, 家木, 良彰, 桐生, 純一, 三木, 淳司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.12.2020
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Summary:ステロイド治療中に僚眼発症を来した動脈炎性前部虚血性視神経症にトシリズマブが奏功した1例を報告する.症例は85歳,女性で,初診時視力は右眼手動弁,左眼0.7であった.右眼の相対的瞳孔求心路障害が陽性で,右眼視神経乳頭は蒼白浮腫を呈しており,右眼動脈炎性前部虚血性視神経症が疑われた.ステロイドパルス療法を施行したが,僚眼発症を来し,側頭動脈生検で炎症細胞浸潤,巨細胞が確認された.ステロイド治療に抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)投与を併用し,治療開始100日目で視力は右眼0.02,左眼0.3を維持している.活動性の高い動脈炎性前部虚血性視神経症はステロイド治療に加え,トシリズマブの併用が有用と考えられる.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.37.423