萎縮した胆嚢床の合併切除を施行した腹腔鏡下胆嚢摘出術の1例

「I はじめに」腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症に胆汁漏や胆管損傷が挙げられる. 要因として胆道系の破格や走行異常が問題となることが多い. 今回我々は胆嚢に接する肝の一部に萎縮を認め, 胆汁漏の予防に同部位の合併切除を施行した腹腔鏡下胆嚢摘出術を経験した. 本症例は術前に点滴静注胆嚢胆管造影を併用したHelical CT(drip infusion cholangiographic-computed tomography:以下, DIC-CTと略記)により肝内胆管の走行を同定し, 胆管の切離や断端の処理に留意できたが, 場合によっては遅発性の胆汁漏も懸念される症例でもあり, 文献的考察を加え報告する...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 67; no. 6; pp. 431 - 436
Main Authors 飯沼, 伸佳, 蒲池, 厚志, 北川, 敬之, 秋田, 眞吾, 三輪, 史郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.12.2019
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Summary:「I はじめに」腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症に胆汁漏や胆管損傷が挙げられる. 要因として胆道系の破格や走行異常が問題となることが多い. 今回我々は胆嚢に接する肝の一部に萎縮を認め, 胆汁漏の予防に同部位の合併切除を施行した腹腔鏡下胆嚢摘出術を経験した. 本症例は術前に点滴静注胆嚢胆管造影を併用したHelical CT(drip infusion cholangiographic-computed tomography:以下, DIC-CTと略記)により肝内胆管の走行を同定し, 胆管の切離や断端の処理に留意できたが, 場合によっては遅発性の胆汁漏も懸念される症例でもあり, 文献的考察を加え報告する. 「II 症例」患者:64歳, 女性. 主訴:右側腹部痛. 既往歴:なし. 現病歴:繰り返す右側腹部痛にて来院, 胆石の頸部への嵌頓および胆嚢腫大を認めた. 症状は短時間で消失し, 炎症所見も認めないことから, 胆石症および慢性胆嚢炎の診断で待機的手術の方針となった.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.67.431