認知的統制の媒介による行動的対処と抑うつとの関連
「問題と目的」 抑うつの認知理論を基礎にした認知行動療法では, 否定的に歪んだ認知を客観的に検討することにより認知を変容させ, 抑うつを低減する技法が用いられる. 甘利・馬岡(2002)は, 認知療法の技法を基に, セルフコントロールの観点から日常的に用いられる認知的スキルを測定する認知的統制尺度を作成した. この尺度は(a)問題に対する別の解釈を検討することや複数の解決策を産出し, 比較する"論理的分析", (b)否定的な思考が浮かんだときにそれに圧倒されず, 破局的な思考をやめることができる"破局的思考の緩和"で構成されている(杉浦・杉浦, 2003...
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Published in | パーソナリティ研究 Vol. 24; no. 2; pp. 155 - 158 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本パーソナリティ心理学会
20.11.2015
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Summary: | 「問題と目的」 抑うつの認知理論を基礎にした認知行動療法では, 否定的に歪んだ認知を客観的に検討することにより認知を変容させ, 抑うつを低減する技法が用いられる. 甘利・馬岡(2002)は, 認知療法の技法を基に, セルフコントロールの観点から日常的に用いられる認知的スキルを測定する認知的統制尺度を作成した. この尺度は(a)問題に対する別の解釈を検討することや複数の解決策を産出し, 比較する"論理的分析", (b)否定的な思考が浮かんだときにそれに圧倒されず, 破局的な思考をやめることができる"破局的思考の緩和"で構成されている(杉浦・杉浦, 2003). 共分散構造分析の結果では, 前者は抑うつ・不安へ直接正の関連を持つ一方, 破局的思考の緩和や自己効力感を介して抑うつ・不安に負の関連を持つこと, 後者は抑うつ・不安へ直接負の関連を持つことが示されている. 認知的統制は抑うつに効果的であるが, 個人の持つ特性によっては必ずしも用いることが容易なスキルではないと思われる. |
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ISSN: | 1348-8406 1349-6174 |
DOI: | 10.2132/personality.24.155 |