PEG化ナノキャリア頻回投与によるaccelerated blood clearance現象の機構解明
「1. はじめに」リポソームは, 生体の細胞膜を構成しているリン脂質からなる人工細胞様微粒子である. したがって, 生体適合性が高く, 体内では薬物を分解酵素などから保護しながら運搬できるため, 理想的なDDS運搬体と考えられている. 薬物をリポソーム内に封入することによって, 副作用を軽減でき, 通常の投与量以上の投与が可能となる. そこで期待されるのが, 抗がん剤などの重篤な副作用を引き起こす治療薬の封入である. 抗がん剤の多くは, 細胞自体若しくはDNAに致命的な障害を引き起こすように設計されている. ところが, がん細胞以外の正常細胞でも, 骨髄の造血細胞や口腔粘膜, 消化管粘膜, 毛...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 129; no. 12; pp. 1445 - 1451 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.12.2009
日本薬学会 |
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Summary: | 「1. はじめに」リポソームは, 生体の細胞膜を構成しているリン脂質からなる人工細胞様微粒子である. したがって, 生体適合性が高く, 体内では薬物を分解酵素などから保護しながら運搬できるため, 理想的なDDS運搬体と考えられている. 薬物をリポソーム内に封入することによって, 副作用を軽減でき, 通常の投与量以上の投与が可能となる. そこで期待されるのが, 抗がん剤などの重篤な副作用を引き起こす治療薬の封入である. 抗がん剤の多くは, 細胞自体若しくはDNAに致命的な障害を引き起こすように設計されている. ところが, がん細胞以外の正常細胞でも, 骨髄の造血細胞や口腔粘膜, 消化管粘膜, 毛根細胞など細胞分裂が盛んな部位では抗がん剤の作用を受け易い. しかし, リポソームなどのキャリアで薬物を包み込むことで, 薬物の体内動態が劇的に変化し, 副作用の軽減をはかることができる. また, がんは, 自身の増殖のために既存の血管だけでは足りず, 新たな血管(新生血管)を周辺につくる(血管新生). 1) |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.129.1445 |