声門癌の喉頭軟骨浸潤に関する免疫病理学的研究
「はじめに」喉頭癌の浸潤様式に関する臨床病理学的研究はこれまでも様々な角度より, 多くの研究がなされてきた. Kirchner 1), Kurita 2), 山田3)らは, 摘出喉頭の連続段階切片を詳細に検討し, とくに喉頭癌の浸潤形式と声帯麻痺の関連を解析・報告した. 一方頴川4), 森5), 松岡6)らは, 浸潤様式の検討結果をもとに, 喉頭機能温存術式の可能性について臨床病理学的に検討している. 本研究では, 摘出喉頭の大切片を用いて声門癌の浸潤様式の病理学的検討を行い, 内喉頭筋浸潤, 軟骨破壊, 喉頭外進展について検討した. さらに, 声門癌が周囲組織へ浸潤し, 喉頭の軟骨を破壊して...
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Published in | 喉頭 Vol. 18; no. 1; pp. 10 - 18 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本喉頭科学会
2006
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Subjects | |
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ISSN | 0915-6127 2185-4696 |
DOI | 10.5426/larynx1989.18.1_10 |
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Summary: | 「はじめに」喉頭癌の浸潤様式に関する臨床病理学的研究はこれまでも様々な角度より, 多くの研究がなされてきた. Kirchner 1), Kurita 2), 山田3)らは, 摘出喉頭の連続段階切片を詳細に検討し, とくに喉頭癌の浸潤形式と声帯麻痺の関連を解析・報告した. 一方頴川4), 森5), 松岡6)らは, 浸潤様式の検討結果をもとに, 喉頭機能温存術式の可能性について臨床病理学的に検討している. 本研究では, 摘出喉頭の大切片を用いて声門癌の浸潤様式の病理学的検討を行い, 内喉頭筋浸潤, 軟骨破壊, 喉頭外進展について検討した. さらに, 声門癌が周囲組織へ浸潤し, 喉頭の軟骨を破壊して喉頭外へ進展する機序について, 喉頭の軟骨破壊に注目した. とくに軟骨破壊を認めた症例と軟骨浸潤のない症例に分類し, 癌浸潤のバリアとなるべき軟骨膜に注目して免疫組織学的検討を行った. コラーゲンは細胞外マトリックスを構築する基本構造に関与しており, 線維性コラーゲンであるI~III型コラーゲンや基底膜の主成分であるIV型コラーゲンなどのサブファミリーが知られている7,8). |
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ISSN: | 0915-6127 2185-4696 |
DOI: | 10.5426/larynx1989.18.1_10 |