薬剤安全管理モニタリング体制の構築と効果
近代医学において医薬品の開発は目覚ましく, 患者は治療上多大な恩恵を受けている. その反面, ソリブジン事件1-3)や血液製剤によるHIV感染, 4)トログリタゾンによる重篤な肝機能障害5-8)など医薬品が原因となる有害事象が相ついで発生し, 薬物の副作用を早期に発見し治療することがより一層大切になってきている. それに対して個々の医師が注意深く治療を行うことは当然であるが, 組織的に薬剤師と検査技師がこれを行うシステムの構築も重要と考えた. 9-15) しかし, 臨床検査値の変動と薬剤投与との関係を漏れなく検索する作業には多大の労力を要し, また, 個人差により検出の基準が曖昧になる恐れがあ...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 123; no. 10; pp. 893 - 900 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.10.2003
日本薬学会 |
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Summary: | 近代医学において医薬品の開発は目覚ましく, 患者は治療上多大な恩恵を受けている. その反面, ソリブジン事件1-3)や血液製剤によるHIV感染, 4)トログリタゾンによる重篤な肝機能障害5-8)など医薬品が原因となる有害事象が相ついで発生し, 薬物の副作用を早期に発見し治療することがより一層大切になってきている. それに対して個々の医師が注意深く治療を行うことは当然であるが, 組織的に薬剤師と検査技師がこれを行うシステムの構築も重要と考えた. 9-15) しかし, 臨床検査値の変動と薬剤投与との関係を漏れなく検索する作業には多大の労力を要し, また, 個人差により検出の基準が曖昧になる恐れがある. 16, 17) そこで, 我々は当院臨床検査部のデータ管理システムに内蔵する前回値と比較し, 差の顕著な数値を検出するシステムを利用し, 薬剤との関係をスクリーニングし, 担当医にフィードバックすることで, 副作用の早期発見につなげることができるかどうかを検討した. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.123.893 |