一不妊症治療施設における養子縁組相談について

「I 緒言」 不妊症で治療を受けている患者は治療が長期化して期待する結果(挙児)が得られない状態が続くと徐々に治療断念を考えるようになる. 医療法人登誠会諏訪マタニティークリニック(SMC)の不妊症治療外来(こうのとり外来)には, 患者の不安や疑問に応じていつでも話を聴き対応できる「こうのとり相談室」が設けられており, 開設以来14年が経過し, カウンセラー, 看護師および培養士が日々の患者の治療における葛藤や悩みに寄り添ってきているが, このこうのとり相談室でも不妊症の治療断念に関する相談は大変多い. その際, 患者から今後の人生の選択肢のひとつとして養子縁組を検討したいという言葉が発せられ...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 66; no. 6; pp. 435 - 441
Main Authors 渡辺, みはる, 保科, 洋美, 吉川, 文彦, 根津, 八紘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.12.2018
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Summary:「I 緒言」 不妊症で治療を受けている患者は治療が長期化して期待する結果(挙児)が得られない状態が続くと徐々に治療断念を考えるようになる. 医療法人登誠会諏訪マタニティークリニック(SMC)の不妊症治療外来(こうのとり外来)には, 患者の不安や疑問に応じていつでも話を聴き対応できる「こうのとり相談室」が設けられており, 開設以来14年が経過し, カウンセラー, 看護師および培養士が日々の患者の治療における葛藤や悩みに寄り添ってきているが, このこうのとり相談室でも不妊症の治療断念に関する相談は大変多い. その際, 患者から今後の人生の選択肢のひとつとして養子縁組を検討したいという言葉が発せられることも少なからずあり, 養子縁組についての情報を求める例にもしばしば出会う. 養子縁組制度には普通養子縁組と特別養子縁組があり, 普通養子縁組は戸籍上において養親とともに実親が並記され, 実親と法律上の関係が残る縁組形式であり, 特別養子縁組は養子とその実親との法的親子関係を解消し, 養親の実子とする親子関係を結ぶ制度である.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.66.435