動脈硬化におけるCholesterolの蓄積粥腫形成・進展機構の分子病理学的解析

「1. はじめに」これまで動脈硬化の研究は形態病理学の立場から解析が進められてきた. 1975年当時, 動脈硬化壁にcholesteryl esterはなぜ蓄積するのか, オレイン酸に富むcholesteryl esterが動脈壁になぜ蓄積するのか, cholesteryl esterを蓄積する泡沫細胞はマクロファージ由来か, それとも平滑筋細胞由来なのかなど疑問の多いところであった. われわれはこの難題を紐解くべく, 分子病理学の観点からその突破口を開こうと考えた. しかし, ヒト動脈壁のホモジェネートの調製を試みたところ, 動脈壁はゴムのようで, しかも, 動脈硬化を起こした血管壁は石のよ...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 128; no. 10; pp. 1383 - 1401
Main Authors 森, 雅博, 橋田, 亮一, 藤田, 永子, 今中, 常雄, 東, 祐輔, 中神, 啓仁, 峰尾, 千恵子, 柳生, 靖子, 木村, 順治, 佐藤, 隆一郎, 板部, 洋之, 藤本, 康之, 高野, 達哉, 天沼, 喜美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.10.2008
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.128.1383

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Summary:「1. はじめに」これまで動脈硬化の研究は形態病理学の立場から解析が進められてきた. 1975年当時, 動脈硬化壁にcholesteryl esterはなぜ蓄積するのか, オレイン酸に富むcholesteryl esterが動脈壁になぜ蓄積するのか, cholesteryl esterを蓄積する泡沫細胞はマクロファージ由来か, それとも平滑筋細胞由来なのかなど疑問の多いところであった. われわれはこの難題を紐解くべく, 分子病理学の観点からその突破口を開こうと考えた. しかし, ヒト動脈壁のホモジェネートの調製を試みたところ, 動脈壁はゴムのようで, しかも, 動脈硬化を起こした血管壁は石のように固く, ホモジェネートを調製することはほとんど不可能であった(Fig. 1). Cholesterolは生体膜にとって必須の脂質であるにも係わらず, なぜ動脈硬化時には過剰に蓄積し, 粥腫を形成するのであろうか. この疑問に答えるべく(1)内皮細胞を培養し, リポタンパク質の透過モデルを作成することにした.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.128.1383