呼吸機能からみた, 両側声帯正中位固定症に対するEjnell法による声門開大術の効果

両側声帯正中位固定症に対する, Ejnell法による声門開大術の効果を検討した. 1998年10月から2005年9月までの7年間に, 当科で初回手術としてEjnell法を行った10例を対象とした. 治療効果については, 自覚症状の改善の有無および, 術前に気管切開術を施行されていた例では, 気管切開孔の閉鎖の有無にて検討を行い, また, 術前後に呼吸機能検査を施行できた例では, 1秒量 (FEV1.0) を最大呼気流率 (PEFR) で除した値 (FEV1.0/PEFR) およびPEFRを用いて検討した. Ejnell法施行前に気管切開術を施行されていた8例のうち, 術後に気管切開孔を閉鎖でき...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 110; no. 2; pp. 65 - 70
Main Authors 宮丸, 悟, 蓑田, 涼生, 湯本, 英二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2007
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.110.65

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Summary:両側声帯正中位固定症に対する, Ejnell法による声門開大術の効果を検討した. 1998年10月から2005年9月までの7年間に, 当科で初回手術としてEjnell法を行った10例を対象とした. 治療効果については, 自覚症状の改善の有無および, 術前に気管切開術を施行されていた例では, 気管切開孔の閉鎖の有無にて検討を行い, また, 術前後に呼吸機能検査を施行できた例では, 1秒量 (FEV1.0) を最大呼気流率 (PEFR) で除した値 (FEV1.0/PEFR) およびPEFRを用いて検討した. Ejnell法施行前に気管切開術を施行されていた8例のうち, 術後に気管切開孔を閉鎖できたのは6例であり, 残り2例は閉鎖できなかった. 術前後に呼吸機能検査を施行できた5例において, FEV1.0/PEFR (ml/L/min) およびPEFR (%) の平均値は, 有意差はないものの, それぞれ13.21から9.85へ, 35.9から51.9へと改善した. 以上の結果より, Ejnell法は両側声帯正中位固定症に対し有用な治療法であることがわかった. 今回の症例のうち, 術後に気管切開孔を閉鎖できなかった2例は, コントロール不良の糖尿病を合併していた例とCOPDを合併していた例であったことから, 本術式の適応を決定する際には, 術前に合併症の有無について十分検索を行い, 慎重に判断する必要があると思われた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.110.65