日本国内における蚊からのウエストナイルウイルス検出法の検討

「はじめに」1999年, 米国ニューヨーク市において突如として流行したウエストナイル(WN)熱は年々西へと流行域を拡大し, これまでに60種類以上の蚊および, 280種類以上の野鳥からウイルスが検出されている(CDC, 2006). 2005年6月現在で, 蚊, 馬, 人のいずれにも感染例が報告されていない州はアラスカ州とハワイ州のみである. また, WN熱の小規模な流行は, 北米大陸のみならず, ヨーロッパ諸国, ロシア, 極東地域においても散発的に起こっており(Dauphin et al., 2004), WNウイルス(WNV)のわが国への侵入に対するリスクは年々増してきている. 2005...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 57; no. 4; pp. 279 - 286
Main Authors 江下, 優樹, 小滝, 徹, 伊藤, 美佳子, 伊澤, 晴彦, 高崎, 智彦, 澤邉, 京子, 星野, 啓太, 佐々木, 年則, 小林, 睦生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 15.12.2006
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.57.279

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Summary:「はじめに」1999年, 米国ニューヨーク市において突如として流行したウエストナイル(WN)熱は年々西へと流行域を拡大し, これまでに60種類以上の蚊および, 280種類以上の野鳥からウイルスが検出されている(CDC, 2006). 2005年6月現在で, 蚊, 馬, 人のいずれにも感染例が報告されていない州はアラスカ州とハワイ州のみである. また, WN熱の小規模な流行は, 北米大陸のみならず, ヨーロッパ諸国, ロシア, 極東地域においても散発的に起こっており(Dauphin et al., 2004), WNウイルス(WNV)のわが国への侵入に対するリスクは年々増してきている. 2005年には, 米国から帰国後に日本国内でWN熱を発症した事例が報告されたが(小泉ら, 2006), 現在までのところ, 国内において感染蚊の検出には至っていない. このような状況において, わが国へは, 強毒タイプとされる1999年ニューヨーク市で流行したウイルス株(WNV-NY99)のみならず, それ以外の地域からも異なったタイプのWNVの侵入が想定されることから, 変異株の検出にも広く対応でき, かつ, 迅速で精度の高い, 蚊からの検出法の確立が求められている.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.57.279