外傷性視神経症の病態に合致しない視機能障害を来した1例

心因性視覚障害の診断に立体視検査が有用であった症例を経験したので報告する. 症例は21歳,男性,右眼の眉毛部を鉄の棒で負傷し,当院受診した.初診時の右眼の視力は光覚,左眼視力は(1.2).相対的瞳孔求心路障害(relative afferent pupillary defect:RAPD)は右眼陽性と判断された.ゴールドマン動的量的視野検査では右眼は施行不可,左眼は鼻側イソプタの狭窄を呈した.右眼外傷性視神経症を疑い,ステロイドパルス療法施行するも,受傷後6日目に僚眼である左眼視力が0.07に低下した.心因性を疑い立体視検査を施行したところ良好な立体視が得られ,左眼のみならず,光覚と考えられて...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in神経眼科 Vol. 37; no. 1; pp. 58 - 63
Main Authors 石川, 均, 柴, 友明, 松本, 直, 富田, 匡彦, 堀, 裕一, 渡辺, 研人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.03.2020
Online AccessGet full text
ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.37.58

Cover

Loading…
More Information
Summary:心因性視覚障害の診断に立体視検査が有用であった症例を経験したので報告する. 症例は21歳,男性,右眼の眉毛部を鉄の棒で負傷し,当院受診した.初診時の右眼の視力は光覚,左眼視力は(1.2).相対的瞳孔求心路障害(relative afferent pupillary defect:RAPD)は右眼陽性と判断された.ゴールドマン動的量的視野検査では右眼は施行不可,左眼は鼻側イソプタの狭窄を呈した.右眼外傷性視神経症を疑い,ステロイドパルス療法施行するも,受傷後6日目に僚眼である左眼視力が0.07に低下した.心因性を疑い立体視検査を施行したところ良好な立体視が得られ,左眼のみならず,光覚と考えられていた右眼についてもある程度の視力を有していると考えられた. 心因性視覚障害の早期の診断の一助として立体視検査が有用であると考えられた.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.37.58