抑うつ的注意バイアスに対する刺激の自己概念関連性の影響
「背景と目的」 近年の抑うつ研究では, 抑うつ傾向の高い個人においてネガティブ刺激に対する注意バイアスが存在することが報告されている(Peckham, McHugh, & Otto, 2010). 注意課題では, 手がかり刺激の提示された場所に注意が向けられた後, 一度そこから注意が解放されると, 同じ場所へ再び注意を向けにくくなるという現象が生じることが知られており, これは復帰抑制効果(inhibition of return effect:IOR;Posner & Cohen, 1984)と呼ばれている. 最近の研究では, 高抑うつ者はネガティブな手がかり刺激に対してIO...
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Published in | パーソナリティ研究 Vol. 21; no. 1; pp. 91 - 93 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本パーソナリティ心理学会
31.07.2012
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ISSN | 1348-8406 1349-6174 |
DOI | 10.2132/personality.21.91 |
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Summary: | 「背景と目的」 近年の抑うつ研究では, 抑うつ傾向の高い個人においてネガティブ刺激に対する注意バイアスが存在することが報告されている(Peckham, McHugh, & Otto, 2010). 注意課題では, 手がかり刺激の提示された場所に注意が向けられた後, 一度そこから注意が解放されると, 同じ場所へ再び注意を向けにくくなるという現象が生じることが知られており, これは復帰抑制効果(inhibition of return effect:IOR;Posner & Cohen, 1984)と呼ばれている. 最近の研究では, 高抑うつ者はネガティブな手がかり刺激に対してIORが生じにくいと報告されている(Koster, De Raedt, Goelevem, Franck, & Crombez, 2005). IORは一度注意を解放しなければ生じないので, こうしたIORの低下は高抑うつ群におけるネガティブ語からの注意解放困難を示していると考えられる. |
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ISSN: | 1348-8406 1349-6174 |
DOI: | 10.2132/personality.21.91 |