がん治療対策食を考案するための女子大学生を対象とした食材温度による食物臭に対する快・不快の相違
【目的】がん治療対策食を考案するための予備的検討として,女子大学生を対象に,食材の温度とアンモニア混入時の食物臭に対する快・不快の相違を検討した。【方法】観察研究用の食材試料は煮魚煮汁とグレープフルーツ果汁,さらに各々に0.1%アンモニアを混入した試料の計4種類とした。食材試料の温度は 25°Cと 55°Cとし,ニオイ分析はにおい識別装置を用いた。また,女子大学生へのニオイに対する快・不快の評価はビジュアルアナログスケールで実施した。【結果】食材試料を55°Cに加温すると,煮魚煮汁は不快な気分となるが,グレープフルーツ果汁は快(心地よい)な気分のままであった。次に室温 25°Cで,試料に0.1...
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Published in | 栄養学雑誌 Vol. 76; no. 5; pp. 99 - 108 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
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特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
01.10.2018
日本栄養改善学会 |
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Summary: | 【目的】がん治療対策食を考案するための予備的検討として,女子大学生を対象に,食材の温度とアンモニア混入時の食物臭に対する快・不快の相違を検討した。【方法】観察研究用の食材試料は煮魚煮汁とグレープフルーツ果汁,さらに各々に0.1%アンモニアを混入した試料の計4種類とした。食材試料の温度は 25°Cと 55°Cとし,ニオイ分析はにおい識別装置を用いた。また,女子大学生へのニオイに対する快・不快の評価はビジュアルアナログスケールで実施した。【結果】食材試料を55°Cに加温すると,煮魚煮汁は不快な気分となるが,グレープフルーツ果汁は快(心地よい)な気分のままであった。次に室温 25°Cで,試料に0.1%アンモニアを混入すると,煮魚煮汁は不快な気分が強くなるが,グレープフルーツ果汁は快な気分が維持されていた。しかし,今まで快な気分を維持していたグレープフルーツ果汁が0.1%アンモニアの混入と 55°Cの加温の2つの条件が加わると急激にビジュアルアナログスケール得点の低下が起こった。【結論】グレープフルーツ果汁は悪臭を中和もしくはマスキングする可能性が示されたが,その反応はある一定レベルの状態でプラトーに達し,残った悪臭が加温により上昇気流にのり,嗅上皮の嗅細胞にたどりつき,主観的な快な気分を打ち消した可能性が考えられた。 |
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ISSN: | 0021-5147 1883-7921 |
DOI: | 10.5264/eiyogakuzashi.76.99 |