当院における頚動脈超音波検査による偶発甲状腺腫瘍の頻度について

目的:頚動脈超音波検査の時に偶然,甲状腺疾患を認める頻度が高くなっており,有所見時における精査基準が必要である.この研究では,有所見症例の結果を分析し,その頻度を把握した. 方法:2009年4月1日から2013年3月31日までに小山記念病院で頚動脈超音波検査の受診者1,018名(男性571名,女性447名)を対象とした. 結果:甲状腺が有所見であったのは461名(45.3%)であった.このうち,A2判定(5mm以下の結節や20mm以下の嚢胞)は302名(65.5%),B判定(5.1mm以上の結節や20.1mm以上の嚢胞)は155名(33.6%),C判定は4名(0.9%)であった.要二次精査であ...

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Published in人間ドック Vol. 29; no. 4; pp. 577 - 584
Main Authors 宮内, 和喜, 柏崎, 麗菜, 武井, 律子, 塙, 智明, 片田, 裕也, 羽生, 滋, 軸薗, 智雄, 森田, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2014
日本人間ドック学会
Subjects
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.29.577

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Summary:目的:頚動脈超音波検査の時に偶然,甲状腺疾患を認める頻度が高くなっており,有所見時における精査基準が必要である.この研究では,有所見症例の結果を分析し,その頻度を把握した. 方法:2009年4月1日から2013年3月31日までに小山記念病院で頚動脈超音波検査の受診者1,018名(男性571名,女性447名)を対象とした. 結果:甲状腺が有所見であったのは461名(45.3%)であった.このうち,A2判定(5mm以下の結節や20mm以下の嚢胞)は302名(65.5%),B判定(5.1mm以上の結節や20.1mm以上の嚢胞)は155名(33.6%),C判定は4名(0.9%)であった.要二次精査であるBおよびC判定のうち,当院甲状腺科外来を受診したのは59名(37.1%)であり,16名(27.1%)が穿刺吸引細胞診を受けた.その結果,悪性所見は認めなかった. 結論:甲状腺内に腫瘤を認めたものは45%以上という高い割合だったが,幸いにもこれまでのところ悪性を認めるものはいない.福島での原発事故後の小児甲状腺超音波検査では,A2判定以上が48.4%にのぼっている.甲状腺腫瘍が高頻度である主な理由として,高機能な超音波診断装置での解析によることが大きいと考える.二次精査の受診勧奨という点では,男性,比較的若い世代,50歳代について力を入れるべきであると考える.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.29.577