低出力レーザーによる抗癌剤効果増強の臨床的試み

低出力レーザーの生体照射が局所の血管を拡張させ, 血流を増加させる事が知られている. この作用を癌治療に応用し, 腫瘍にレーザーを照射しつつ抗癌剤を経静脈投与すれば, 腫瘍内の薬剤濃度が高められその抗腫瘍効果が増強される事が予測される. 今回この仮説を検証すべく進行肺癌症例に対し臨床治療研究をおこなった結果を報告する. 対象は平成11年4月以降当施設に入院し, 手術適応外と診断され, 抗癌剤の経静脈投与が治療の第一選択となり病巣全体が気管支鏡下に観察可能であった肺癌症例19例である. 性別は男性15例, 女性4例で, 組織型は扁平上皮癌11病巣, 小細胞癌2病巣, 腺癌5病巣, その他2病巣で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 22; no. 3; pp. 83 - 90
Main Authors 島谷, 英明, 奥仲, 哲弥, 安仲, ゆかり, 坪井, 正博, 似鳥, 純一, 小中, 千守, 加藤, 治文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 2001
日本レーザー医学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:低出力レーザーの生体照射が局所の血管を拡張させ, 血流を増加させる事が知られている. この作用を癌治療に応用し, 腫瘍にレーザーを照射しつつ抗癌剤を経静脈投与すれば, 腫瘍内の薬剤濃度が高められその抗腫瘍効果が増強される事が予測される. 今回この仮説を検証すべく進行肺癌症例に対し臨床治療研究をおこなった結果を報告する. 対象は平成11年4月以降当施設に入院し, 手術適応外と診断され, 抗癌剤の経静脈投与が治療の第一選択となり病巣全体が気管支鏡下に観察可能であった肺癌症例19例である. 性別は男性15例, 女性4例で, 組織型は扁平上皮癌11病巣, 小細胞癌2病巣, 腺癌5病巣, その他2病巣であった, 進行度は全例stage III A以上であった. 喉頭麻酔下に気管支鏡の生検チャンネルを通したクォーツファイバーから低出力レーザーを腫瘍全体に均一に昭射しつつ抗癌剤を経静脈投与し, 治療効果を気管支鏡所見を中心に, 適宜CT, 単純X線写真を参考に評価した. 20病巣中3病巣に気管支鏡所見上完全寛解が得られ, 部分寛解が8病巣, 残り8病巣は不変であった. 完全寛解群における抗腫瘍効果発現までの平均所要日数は4, 3日であった.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm1980.22.3_83